カノンの海外ドラマ漂流記

気ままな海外ドラマ中心のブログです。ネタバレ記事中心です。

hulu ドラマ「メディチ」シーズン1 Ep7「煉獄」PURGATORY 感想

コジモは一体どうしたんでしょう!? の回です。

 全8話ですが、あと一回でまとまるんでしょうか? 疑心暗鬼、八方塞がりとはまさにこのこと。ひたすら心配しながら観てしまいました。「祖国の父」ともあろう人に僭越ですが。

 

前回の最後、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の献堂式にて。信頼を取り戻したように見える二人、コジモ・デ・メディチリチャード・マッデン)と妻コンテッシーナ(アナベル・スコーリー)。たぶんコンテッシーナはそう感じたと思いますが、見ようによってはコジモはつらくて手を握り締めてすがっていたように思える。

 

殺害されたリナルド・アルビッツィ(レックス・シャープネル)と息子オルマンドエウジェニオ・フランチェスキーニ。実はこの事件の犯人は最後まで明らかにされません。シーズン2以降に言及されるかもしれませんが。

 

アルビッツィ殺害犯が気になって悶々としました

のこされた妻のシーンはつらかったですね。メディチ家陰謀説に乗ってしまう気持ちもわかります。

で、殺害を命じたのはコジモじゃないかと思わせる演出になっています

 

●献堂式の途中、教皇の祈りの間、緊張して平静に見えないのは、今まさに殺害されていると分かっているからかもしれない。

●人払いをしてまで傭兵隊長と二人だけで話をした。報酬以外の話があったことは間違いない。

●追放前夜、アルビッツィは自分がコジモの父ジョヴァンニ(ダスティン・ホフマン)を殺した犯人かもしれないぞ、毒のことも知っている、とコジモに告げる。

●亡くなった後、アルビッツィの悪夢にうなされる。

 

怒りに震えていたことは想像に難くありません。そもそも自分を処刑しようとしたアルビッツィですから。

しかしですね。しかしですね。信じられないというか信じたくないというのが正直な気持ちです。

 

殺害までするでしょうか。陰謀やだまし合いや戦争や熾烈な競争を勝ち抜いて一大ビジネス帝国を築いたコジモ・デ・メディチです。厳しい手を使ったり、冷酷な仕打ちをしたこともあったでしょう。でもなあ・・・。

 

現代と価値観が異なる厳しい時代だということは分かります。そこはきちんと描かれていると思う。これがどこぞの王様や戦国武将なら納得するんです。でもボルジア家ではなくメディチ家なのですよね。(ボルジア家のイメージもたいがいお気の毒ですが)

 

私の中では勝手に、コジモ・デ・メディチってリンカーン級の人だったんです。聖人君子だったとは思わないし、とても政治的な人だったと思うけど。

 

正当防衛でも一対一のかたき討ちの免状があるわけでもない(当たり前)。一万歩譲っても、アルビッツィが父親暗殺の犯人という確証は無いわけです。街を出た後よからぬ事を企んでいたという理由があるならまだ分かりますけど、何も無い。

 

それでいきなり殺すのはコジモにしては浅はかな気がする。傭兵隊長と話をしたのは、アルビッツィがジョヴァンニ犯人かもしれない、と話した日より前だったし。

 

実際には、アルビッツィ父子だけでなく一族郎党・70名を一気に追放したそうで、とても厳しい激しい部分はあったと思います。が、清濁併せ飲みつつ、寡黙に厳格に自分にも厳しく、しかも人文・芸術を愛した人だと思うので・・・ちょっとつらいなあと思いながら観直しました。

 

で、わたくしの結論はパッツィということにしました。

先までネタバレしますが、とにかくメディチ家が殺人犯で得をするのはパッツィ家です。この罪を利用して、メディチを蹴落として教皇庁に食い込もうとするライバル銀行家。

得をするのは誰だ? がクライム系ドラマの常道ですしね。

 

コジモが暗殺させたのだとしたら、自分がどう思われるか影響は分かっていたはずです。しかも政治を完全掌握できた時期。“必要悪”といえるほど必要不可欠ではなかった。なので、今後のためにもパッツィに思い切り悪役になっていただくべきかと思いました。

(念のため繰り返しますと、史実ではアルビッツィはあと何年も生きてます。)

 

疑心暗鬼は大事な大事な家族にも

殺人事件がもう一つ。コジモがプリオーレに推薦した庶民のブレダーニさんが殺されてしまいます。市場でオリーブオイルを売っていた商人です。こちらは明らかにパッツィが犯人。

自分達は控えめに、庶民を政治に参加させての多数派工作はメディチ家の戦略だったらしく、そのことを利用したエピソードですね。市民の人気は集めたでしょうが、妬みそねみがあったことも事実でしょう。

 

この事件にいらいらしたのか、殺人容疑で頭にきたのか、アルビッツィを追放した自分のせいじゃないかと悩んだのか、コジモは不安定になります

 

マルコ(グイド・カプリーノ)はジョヴァンニ殺害に関連する短剣がコジモの弟ロレンツォ(スチュアート・マーティン)のものだと話さざるを得なくなり、マルコとロレンツォはお互いを非難。

ロレンツォは父ジョヴァンニに引き裂かれた恋人ローザのことをいまだに思っており、大番頭ウーゴ(ケン・ボーンズ)はローザと子供が助からなかったことを伝えます。

ロレンツォは自室に軟禁。だがマルコの鞍袋から毒(ドクニンジン)の領収証が見つかり、今度はマルコが責められる。

 

父親殺害に関し、実の弟と長年忠実だった友人兼従者を疑い始めたコジモは、混乱の極みでした。

ロレンツォは「コジモは変わってしまった。俺を心から締め出した」と言い、マルコは「金と権力を得てあなたは何を失ったか分かっているのか」と怒鳴り、出て行ってしまいました・・・

弟と友の信頼を失い、愛人マッダレーナ(サラ・ヘルバーバウム)の妊娠まで発覚して家族は崩壊寸前です。

コンテッシーナもつらそうでしたよ。アルビッツィの未亡人に「自分の夫が怪物だと分かっているのか」と責められました。 

コンテッシーナに「人を呪わば穴二つ」と指摘されたコジモは「殺人は自分の魂が耐えられない」と言います。

教皇も「神は善行も罪も見ている」と言っていました。

 

タイトルの「煉獄」ですが、コトバンクによると、カトリックにおいて「罪の償いをまだ終っていない死者の霊魂が死後至福の状態に導かれるまで、残された償いを果すためにおかれると信じられる苦しみの状態」だそうです。天国へ行くまでの償いの期間のようなものでしょうか。

 

献堂式で煉獄の期間を短くする贖宥状も与えられたことでしょう。聖堂建設を償いのためだけと解釈するのは少し単純な気がします。あの膨大な芸術作品群にかけた情熱を思うと。

 

疑心暗鬼を乗り越え、信頼できる人たちとの関係を見直す時期だったと思いたいです。

次回、コジモ編、完結です。

 

Medici- Masters of Florence