Ep3「無法者たち」OUTLAWS、Ep4「(スクリーン)テスト」(SCREEN) TESTS の感想です。
1940年代ハリウッドを舞台に、理想の映画を作ろうと奮闘する人たちの物語。この2エピソードまとめての概要はこんな感じです。
●同性愛、人種問題に悩む人たちが描かれる。
●配役を決めるためのスクリーンテストが行われる。
●映画会社には、差別と闘う覚悟があるか問われる。
Seen “Hollywood” on Netflix yet? It’s soooo good!!!! #HollywoodNetflix #Hollywood @netflix @hollywoodnetflx https://t.co/mwdeZChHjb
— Bobby Berk (@bobbyberk) May 8, 2020
前回までのメインキャストたちが本格的に動き出します。ここではまず、要所要所で重要な役割を果たすサブキャラクターをまとめてご紹介しましょう。
再起をかける先輩女優、ジーン・クランドル
お久しぶりのミラ・ソルヴィーノ(Mira Sorvino)。女優ジーン・クランドル役です。
アカデミー助演女優賞「誘惑のアフロディーテ」は1995年。もう50代なのですね。元祖・高IQセクシー女優。といっていいのかどうか、完璧なプロポーションで可愛くてコケティッシュな雰囲気が女性にも人気でした。映画「ロミー&ミッシェル」の右です↓
ジーンはキャリアのある女優ですが決定的な代表作がなく、全盛期は過ぎた人、という印象。じつはエイヴィスの夫エースの浮気相手です。
実力はあるため、後に、エイヴィス(パティ・ルポーン)とエレン・キンケイド(ホランド・テイラー)は彼女のための映画を用意します。
映画会社の社長にしてエイヴィスの夫、エース・アンバーグ
エーススタジオの社長エース・アンバーグ役は、巨匠ロブ・ライナー(Rob Reiner)!
.@MiraSorvino is Jeanne Crandall pic.twitter.com/Kbz1k44CTd
— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 1, 2020
「スタンド・バイ・ミー」「恋人たちの予感」「最高の人生の見つけ方」などの監督・プロデューサーであり、俳優としての出演作品も多数。
理念や正義よりお金が一番、オスカーもすでにたくさん持っているし、とにかく儲かる映画を低予算で作れという俗物に描かれています。
実力派・中国系女優アンナ・メイ・ウォン
こちらはアンナ・メイ・ウォン役のミシェル・クルージ(Michelle Krusiec)。
台湾生まれの米国育ち。たくさんのドラマや映画で活躍するアジア系俳優の代表格ですね。
アンナ・メイ・ウォンは実在の女優で、初の中国系スター。実力がありながら映画「大地」の主役になれず失意の日々。新人監督レイモンド(クリス・ダレン)は、何とかアンナを復帰させたいと思っています。
隠れて生きるしかない「無法者」たちの寂しさ
Ep3では同性愛者たちがアウトローとして描かれました。大監督ジョージ・キューカー(ダニエル・ロンドン)が主催するゲイたちの豪華なパーティです。こんなに大量の男性フルヌードは見たことがなくて驚きました・・・。
アーニー(ディラン・マクダーモット)は言います。「彼らは自由を奪われている。隠さなければ無法者扱いされる。素晴らしい才能の持ち主が隠れて生きるしかないんだ」
Our bossman @DylanMcDermott is going LIVE from Hollywood on his Instagram with the rest of the cast Sunday at 11AM PT. Don't be late! pic.twitter.com/G46UicoxYO
— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 3, 2020
その典型はディック・ サミュエルズ(ジョー・マンテロ)でしたね。誰もが紳士と認める人物なのに「ずっと別の役を演じてきた。本当の自分は海に沈んでいく。もう間に合わない。本当の自分を殺したから」とロックに話し、「私のようになるな」と言います。悪徳大物エージェント、ヘンリー(ジム・パーソンズ)に生き方を支配させるな、と。
感動的なのですが、ディックはスーツ姿、ロック・ハドソン(ジェイク・ピッキング)は素っ裸のまま会話が続くので(何もなかったけど)笑えて悲しくなるシーンでした。
一方ジャックは、ヘンリーに行為を強要されたとき、自分は「何者かになりたいと思っていた。でもそんな方法じゃ意味がない」ときっぱり断っていました。
初めてのオーディションが始まりました!
スターになる夢が破れ、人生に絶望して自殺した女優ペグの実話をもとにした映画は、レイモンド監督のもと、制作されることになります。
新人俳優たちは、みんな張り切って準備しますが・・・67テイク撮り直したロック、下手すぎて危険です。
みなそれぞれに助言を得ながら稽古をします。
ジャック・カステロ(デヴィッド・コレンスウェット)はエレンに演技指導を受けます。こちらは前回のスタジオとの契約のためのカメラテスト。
"Experience: None" pic.twitter.com/6d0mrdgxyV
— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 16, 2020
エレンは、トーキーになって演技法が変わった。自然主義が台頭してきた。サイレント時代の大げさな演技はもうだめ。目で演技するようにと教えます。そして「大作映画には適してるだけでは選ばれない。唯一無二でなくては」
時代は変わっても、スターの条件は同じですね。
ジャックはディックに主役ペグの恋人役をやりたいと直談判をします。アメリカを体現する男であることが条件なので、僕、ぴったりですから! と。
Don't have to tell me twice, sweetheart. pic.twitter.com/chNox6Vy1F
— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 4, 2020
ロックも脚本を読んで、アメリカ? 僕のことだと言っていました。自由の国で理想を体現する男ということでしょうか。
It was a true honor playing Rock Hudson pic.twitter.com/8cHwlSRN6D
— Jake Picking (@jake_picking) May 10, 2020
本物のロック・ハドソンです。
ところでこの作品では、映画そのものが通して上映されることはありません。稽古や撮影風景を通してエッセンスが描かれます。
失望する主役のペグ、助けようとする恋人。複数の俳優がそれぞれの解釈で演技してみせるシーン、解釈を話し合うシーンは見ごたえがありました。
例えば、お酒を飲んでいるから脱力すべき、でも酔っぱらうためではない、落ち着くためだからその時の心情を表現すべき・・・など。
クレア(サマラ・ウィービング)はジャックと、ロックはアーチー(ジェレミー・ポープ)やヘンリーと、カミールはレイモンドと話し合いながら演技を練り上げていくのですね。
カメラの前に立っての演技で、皆が認めたのはやはりカミール(ローラ・ハリアー)でした。
人種問題を気にする経営陣。エレノア・ルーズベルトが登場します
カミールの発案で、主役を白人のイギリス人女優「ペグ」でなく、ミシシッピ出身の黒人女優「メグ」にすることも検討し始めたレイモンドとアーチー。黒人映画にしたいわけじゃないというアーチーに、カミールは「私だってメイド役だけをやりたいわけじゃない」。
相談されたディックはつらそうです。エースは脚本家が黒人というだけで憤慨していました。「ヘイズコードを知らないのか」と。
私も知らなかったのですが、ヘイズコードとは映画業界の自主規制のこと。非難されないよう、上映を阻止されないようもうけたもので、委員の名前をとってヘイズコードというらしい。なかには、「異人種間の恋愛」「性的倒錯」の禁止があります。
この頃、エースはジーンとの浮気中に心臓発作を起こし、エイヴィスが経営を引き継いでいました。エイヴィスも黒人が主役の映画は難しいと悩みますが、友人のエレノア・ルーズベルト=前大統領夫人がスタジオにやって来ます。
Hmmmmmm. https://t.co/3YLzdUvpFF pic.twitter.com/wCYBsLdzfV
— Holland Taylor (@HollandTaylor) May 6, 2020
迎えるディックとエレンとスタジオの人々。演じるのは、おなじみハリエット・ハリス(Harriet Harris)です。
Thanks @hollywoodnetflx It was lovely escaping into your brave new world. https://t.co/21IgFpoPVp
— Harriet Harris (@MsHarrietHarris) May 1, 2020
人道主義の活動家として尊敬されているエレノア・ルーズベルトが語りかけます。
「私たちは自由のために戦争をしたと信じていた、正しさを保つためと思っていたのに(南部の人種差別的な)ジム・クロウ法は生きている。この国の精神は後退していると感じた。だから主演に黒人女優をと説得しに来たのよ」
ボイコットされれば他の映画も作れなくなる、関係者全員がKKKの標的になると悩むエイヴィス。エレノアは、黒人の子供たちに希望を与えてほしいと言います。
「私はホワイトハウスで多くを学んだ。政治が世界を変えられると信じていたが、いまはもう信じない。でも映画は間違いなく世界を変えられる」
アジア系であるアンナ・メイ・ウォン、レイモンド自身の問題も含まれます。気持ちの決まっているディックとエレン。
Can I say I love Ellen and Richard so much?#HollywoodNetflix pic.twitter.com/mMK3MqndrA
— 𝚊𝚕𝚒𝚌𝚎 (@alwayssleepy175) May 10, 2020
今や多くの社員、関係者に責任ある立場になったエイヴィスはどうする? と考えさせて終わります。次回に続きます。
なお「ハリウッド」の配信が始まった5月、ミシシッピ州でジョージ・フロイドが警官の暴行によって亡くなる事件が起きました。