Ep5「自分を信じて飛べ」JUMP、Ep6「メグ」MEGの感想です。前回、Ep3 & 4はこちら。
いよいよ黒人女性が主役の映画「メグ」の製作が始まります。
●いやがらせや批判をはね返し
●演技も脚本もブラッシュアップできるのか
●予算と経営は大丈夫なのか・・・
が気になる点ですね。映画制作の実際や裏側が描かれているのは興味深かった。
まずは、注目の新キャラをご紹介します。
初の黒人オスカー女優、ハティ・マクダニエル
2020年5月に配信が始まった「ハリウッド」。6月に、HBOマックスが映画「風と共に去りぬ」の配信を当面停止するというニュースが流れました。BLACK LIVES MATTER の流れもあり、この映画でアカデミー助演女優賞に輝いたハティ・マクダニエルのことも報道されました。演じるのは、クィーン・ラティファ(Queen Latifah)! さすがの存在感です。
THE LEAD ROLE #HOLLYWOODNetflix pic.twitter.com/6a8pZlEJKc
— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 8, 2020
上は、カミール(ローラ・ハリアー)に激励の電話をかけているところ。カミール主演映画の製作が発表されると、新聞でも取り上げられます。センセーショナルなことなのですね。
今年の報道で、ハティ・マクダニエルはアカデミー賞発表の会場にも入れなかったと知りました。1939年のことです。作中、メイド役のカミールは「ハティ・マクダニエルのように」と何度も指示されます。
名前を残したとはいえ、ステレオタイプな演技ばかり要求されるのは苦しかったと思います。
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— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 5, 2020
↑カミールの撮影風景。こんな演出は夢物語だったでしょうね。
進歩的な自由人としてのタルラー・バンクヘッド
このドラマ、「風と共に去りぬ」にはいろいろとこだわっています。当時の象徴として扱ったのでしょうか。演技に没頭するエキセントリックなヴィヴィアン・リーが度々登場します。
実在の女優では、奔放なタルラー・バンクヘッドも。
タルラー・バンクヘッド役は、「クリミナル・マインド」などのパジェット・ブルースター(Paget Brewster)。
Wikipediaによると、タルラー・バンクヘッドはアラバマの民主党政治家ファミリーの出。母を亡くした後、黒人の乳母に育てられ、後にホワイトハウスにも母親代わりとしてこの乳母を伴って行きました。タルラーの乳母がホワイトハウスに入った初めての黒人だったということです。
ドラマの中では、アーニーのガソリンスタンドの黒人店員とハティと3人でひと晩過ごしたシーンがありました。ジョージ・キューカーのパーティにも参加していましたし、自由で大胆な自立した女性、偏見のないハリウッド人として登場させたのかと理解できました。
ディズニー映画「南部の唄」も報道されましたね。現実のニュースとリンクしたあまりのタイミングに驚きます。それほど切迫した問題だととらえるべきなのでしょう。
勇気ある女性経営者エイヴィス、映画製作を決断します
前回、エレノア・ルーズベルト(ハリエット・ハリス)に背中を押されたエーススタジオのエイヴィス・アンバーグ(パティ・ルポーン)は、冒頭で、実力あるカミールを主役にすることを決定。
Powerful friends.
— Holland Taylor (@HollandTaylor) May 10, 2020
Making things happen.
Would you want them on your side?#HollywoodNetflix#NotTheLadiesWhoLunch pic.twitter.com/I2h1gRodUj
寝ずに悩みますが、「南部の唄」を批判するディック・サミュエルズ(ジョー・マンテロ)や、「あなたが挑戦しなければ世界が変わるまでに、もう何十年もかかる」と説得するエレン・キンケイド(ホランド・テイラー)に支えられての決断でした。
ここから、人種問題・LGBTQ(そして女性の社会進出)に一丸となって臨むことになります。絵空事と分かっていても、明るくテンポのいい作風とあいまって、なかなか爽快なエピソードでした。
ですが発表以来、各地で反対デモが起こり、アラバマの全映画館で上映禁止、契約を解除する俳優・スタッフもでてきます。「予想通り、彼は実質KKKよ」と断定して相手にしない姿勢は格好いい。といっても十字架が燃やされる事件が起こるなど身の危険があるので、警備を強化することになります。費用はかさみ、売り上げが減ると倒産の危険もあるという状態に。
さらなる上映禁止を見越して予算厳守が言い渡されますが、そうもいかないのがクリエイター。クオリティ重視で突っ走ったレイモンド(ダレン・クリス)は自腹を切ることを求められ、アーニー(ディラン・マクダーモット)が協力することに。
as gold as the golden tip https://t.co/2PN36mRWK8
— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 3, 2020
どこの世界も予算問題はシビアです。
脚本を練り上げ、演技指導にも熱が入ります
プロデューサーである重役のディックと監督レイモンド、脚本家のアーチー(ジェレミー・ポープ)の3人がレストランで脚本を修正するミーティング。いちばん好きなシーンかもしれません。
「この場面の意味は何だ?」「よくある話じゃない、新しい話を作っているんだ」「ここで、どんな観客に何を伝えたい?」と議論を深めるディック。
最初は乗り気じゃなかった若い監督と脚本家ですが、それぞれに答えを探り、もとのアイデアから「もう別の物語だ」と思えるところまで進むことができました。
まさにプロフェッショナルでしたね。何を伝えるのか、です。ものを作るというのはこういうことなのかと思いました。この過程を何回も繰り返していくのでしょう。先輩が後輩に経験を伝える場面でもあります。真摯な仕事をする人が近くにいてうらやましいなと思ってしまいました。社会人をウン10年やってると、つい・・・。
Miss these humans #HollywoodNetflix pic.twitter.com/C3MPCqGqlD
— Laura Harrier (@LauraHarrier) May 10, 2020
出演者全員が集まって台本を読むシーンもありました。みんな上手になって、チームワークも芽生えてきて感無量です。アンナ・メイ・ウォン(ミシェル・クルージ)も参加しました。
My reaction time on a Monday. pic.twitter.com/NpizNQKDed
— HOLLYWOOD (@hollywoodnetflx) May 11, 2020
ところでアーチーとレイモンドは、「君たちのためじゃない、夢のためだ」と資金不足を助けてくれたアーニーに役をオファーします。俳優を目指していたアーニーへのプレゼントですが、役の名前はデビッド・O・セルズニックをもじったもの。「風と共に去りぬ」や「第三の男」などで有名なプロデューサーです。
There are podcasts I listen to that are so interesting and pleasurable, but to be the subject of one is quite an experience... @ElvisMitchell is a marvelous smart and warm interviewer, and makes me feel smart, too! Thank you , Elvis! https://t.co/fXFhH5zUUw
— Holland Taylor (@HollandTaylor) June 15, 2020
そしてエレンがアーニーに演技指導。「演技は魔法でなく仕事よ。技術なの。時間をかけて磨かなければ向上しない」というエレンの言葉に力づけられる若い俳優は多いでしょう。アーニーの役は映画のプロデューサーで、「メグ」の中で作られる映画をヘイズコードや偏見から守る役。ディックがモデルでエイヴィスとエレンを投影した役柄なのは間違いありません。
This guy!!!!
— Holland Taylor (@HollandTaylor) May 8, 2020
He can play anything!!#hollywoodnetflix pic.twitter.com/AxNolLOIiu
セリフの一部は「ヘイズコードに服従するな。国民が見る物を勝手に決めるな。国民の判断力を信じないのは、自由を愛していないということだ」といった内容です。アメリカだなあと思いました。
そしてこの二人にはロマンスが生まれるのでした。
メグの恋人役ジャック(デヴィッド・コレンスウェット)と友達役クレア(サマラ・ウィービング)もバーテンダー役ロック(ジェイク・ピッキング)も真剣に役と向き合います。
実はヘンリー(ジム・パーソンズ)も(少し)貢献しました!
What a special, wonderful actor Jim Parsons is.
— Holland Taylor (@HollandTaylor) May 6, 2020
#HollywoodNetflix pic.twitter.com/cABx3lIJOV
スキャンダルからスタジオを助ける度に、交換条件としてロックを出演させ、自分もプロデューサーとなることを要求。結末の説得力が足りない、何を加えるべきかを思いつきます。
ディックとは大人げなく罵り合うし、敵だか味方だか何を言ってくるのか分からない得体のしれないキャラクター、最高です!
夫が復帰。エイヴィスは共同経営者に?
社長のエース(ロブ・ライナー)が回復し退院。以前のように「メグ」の上映は認めないと言うエースですが、試写を見て考えが変わったようです。しかし、倒産は免れないとして上映中止を決定。ディックは猛反発します。
同性愛者と噂される度にかばってやったのに、というエースに「もう隠さない。愛する人と会えた。初めて幸せになれた」とディックは折れませんでした。
エイヴィスは「ご苦労さん」と当然のように家庭に戻されることが我慢できません。「初めて決定権と自主性を手に入れたのに、また台所に押し込めるなんて許せない。私は共同経営権がほしい」
意外にも答えはあっさりOKでした。「誇りをもって死にたい」と考えを変えたエース。夫婦としてもやり直しますが、翌朝亡くなります。
そこに乗り込んできた弁護士は、会社存続のためにと「メグ」のフィルムを強引に奪い燃やしてしまいました!
上映されると分かっていてもビックリのラストでしたね。次回、最終回です。