こういうの、制作裏話といっていいかどうか分かりませんが。
プロデューサーにして原作・脚本・ときに監督もつとめる「ライン・オブ・デューティ」生みの親、ジェド・マーキュリオ Jed Mercurio が「Radio Times」のインタビューで、企画は当初 BBC One に拒否されたと話していました。
気になるツイート&記事を見つけたのでご紹介します。
The margin between failure and success is narrow. For five and a half seasons of #LineofDuty thanks go to @simonheath69, Priscilla Parish @worldprods Charlotte Moore, Piers Wenger, Ben Stephenson @BBCOne @BBCTwo Tommy Bulfin, Stephen Wright @BBCnireland https://t.co/OM8UE6GGVu
— Jed Mercurio (@jed_mercurio) July 30, 2020
毎シーズンのように最多視聴率を塗り替える賞レース常連ドラマなのに、意外ですね。
確かに2012年のスタート時は、BBC Two での放映でした。BBC One に変わったのはシーズン4から。
ふーん、そんな事もあるのね、と軽く考えていたら案外きな臭い話でした・・・。
「ドラマを拒否した責任者は、その事を忘れたらしい」
ストレートですね、マーキュリオさん。はっきり言っておきたい何かがあったんでしょうか?
ドラマの企画書を作って BBC One に持って行ったマーキュリオさん、きっぱり拒絶されたようです。
警察の腐敗を扱うことへの抵抗があったと思われるそうです。
しかし、BBC Two が企画を採用、結果的にホームグラウンドとなりました。ここまでの道のりは険しかったそうです。
そして問題は「責任者(controllers)が責任を負わないこと」とまたまたはっきり言ってます。controller ってたぶん決定権を持つどこかの部署のトップのことですよね。
そして、「ある controller は彼女の決定を正当化する必要もなかった。彼女のキャリアにとって、最大のドラマであるライン・オブ・デューティを断った影響はゼロだから」。
「ライン・オブ・デューティを拒否した関係者(TVコミッショナー、TVエグゼクティブ)は、全員、今やそんなことは無かったふりをしているんだ」。
これは、企画をボツにされたこともだけど、その後、手のひら返しな反応をした人々への怒り(または軽蔑?)やら、そんな関係者の間で最近何かあったのではないか、とも深読みできます。
ですが、「認めてくれて協力してくれた BBC の人たちにはとても感謝している。彼らとの仕事は楽しいし、僕は彼らに忠実だ」 ただし「そうでない人たちも(BBCには)たくさんいる」。
むむむ。絶対、なんかあったでしょ!
で、「詳しくは来週火曜日の記事を読んでね」で終わってました。
「昔、こんな事があったんだよ〜」的なお話だといいんですが、ニュアンスは分かりませんでした。
今や大物プロデューサーのジェド・マーキュリオ
何が驚いたって、掲載した「Radio Times」は英国エンタメ誌の老舗で、もともと BBC が発行していた雑誌だったということ。Wikipedia によると、現在は BBC Magazines を買収した Immediate Media Company が発行しているそうです。
ちなみに、BBC One が NHK総合 だとしたら、BBC Two は Eテレ、とわたくしは理解しているのですが大丈夫かしら?
Eテレで実験的な作品を作ったら大当たりしたので、1ch で放送することにしました、という感じかと。
おとなしく来週火曜日(8月5日でしょうか)を待ちますが、ジェド・マーキュリオ、発言力ありますね。さすがに大丈夫だろうかと気になりますが・・・。
ジェド・マーキュリオ Gerald Gary "Jed" Mercurio は、1966年、英国ランカシャー州ネルソン生まれ。
両親はともにイタリアからの移民で父は炭鉱で働いていたそう。バーミンガム大学医学部卒業後、英国空軍に入ります。専門は航空医学だったようです。
医師として働いていた頃、BBC の医療ドラマ「Cardiac Arrest」(1994-96放映)執筆。
医師をやめ、ITV でコメディ「The Grimleys」(1999-2001)執筆。
最初の小説「Bodies」(2002)をもとにしたドラマ(2004-06)は、BAFTA(英国アカデミー賞 British Academy Film Awards)にノミネートされるなど大きな話題となりました。
2007年には、2作目の小説「Ascent」を発表。ガーディアン紙で“誰もが読むべき1000冊”に選ばれます。
この他、数本のTVドラマを手掛けた後、「ライン・オブ・デューティ」(2012-)、「チャタレイ夫人の恋人」(2015)、「ボディガード -守るべきもの-」(2018)を制作。
賞レースにノミネートは数知れず、多くの賞を受賞しています。最近では、「ライン・オブ・デューティ」が2020年のエドガー・アラン・ポー賞「Best Television Episode Teleplay」受賞、2019年のゴールデングローブ賞・エミー賞に多数ノミネートされた「ボディガード -守るべきもの-」では、リチャード・マッデンがゴールデングローブ賞ベストアクター賞を受賞、NTA(National Television Awards)でも複数受賞。
Best New Drama 🏆
— BBC One (@BBCOne) January 23, 2019
Best Drama Performance 🏆
WE ARE THRILLED! 🎉 Well done #Bodyguard and @_richardmadden for your wins at the National Television Awards! We couldn't be prouder. 👏 #NTAs pic.twitter.com/SlJM444K6O
今、最も注目されるクリエイターの一人だと思いますし、大好きなドラマの製作者なので、しばらく追っかけてみようと思います。
現在シーズン6製作中。シーズン5配信停止問題についてはこちら