カノンの海外ドラマ漂流記

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映画「メイジーの瞳」感想 ~ アレクサンダー・スカルスガルドの優しいパパに癒されました

本当の親子ではないんです。心温まるホームドラマでもありません。が、思いがけずいい映画でした。

素直で可愛い6歳の女の子の目を通して綴られる家族の関係は、切なくて苦い。けっこう苦しくなることも多かったので、なおさら癒されました。

 

アレックスパパの雰囲気を知りたい方は、最後の動画からご覧ください。

メイジーの瞳(字幕版)

メイジーの瞳(字幕版)

  • ジュリアン・ムーア
Amazon

映画「メイジーの瞳」(What Maisie Knew)(2012)です。amazon prime video配信中。

アレクサンダー・スカルスガルドは母親の再婚相手という設定で、忙しい実の両親よりたっぷり時間をかけてメイジーと仲良くなる役。いい人過ぎて泣けました。

 

離婚した実の両親と疑似家族の5人

登場人物はこの5人。舞台はNYで、時々学校の先生やクラスメートが加わります。両親が離婚し、10日ずつそれぞれの家で暮らす一人娘メイジーのお話です。

パパとママにはそれぞれ新しいパートナーがいて、このパートナーたち(マーゴとリンカーン)と心を通わせることになります。

メイジー(オナタ・アプリール Onata Aprile)は6歳の女の子。オナタは2005年、米ペンシルベニア州生まれ。おばあ様が日本人だそうです。

母スザンナ(ジュリアン・ムーア Julianne Moore)はロック歌手でツアーに忙しい売れっ子です。感情の起伏が激しく、メイジーにもきつく当たってしまいがち。

父Mr.ビール(スティーヴ・クーガン Steve Coogan)は海外を飛び回るアートディーラー。娘と過ごす時間はなく、英国に帰ることになります。

マーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハム Joanna Vanderham)は元ベビーシッターで、離婚したパパの再婚相手。ジョアンナ・ヴァンダーハムは、1992年スコットランド生まれで映画「リチャード三世」、ドラマ「ウォリアー」「レジェンド・オブ・トゥモロー」など。いい女優さんですね。今後注目したいです。

リンカーン(アレクサンダー・スカルスガルド Alexander Skarsgård)は心優しいバーテンダー。ママと結婚します。公開時期でいうと「メランコリア」「わらの犬」「バトルシップ」の後、「ザ・イースト」の前の時期。「トゥルーブラッド」シーズン5くらいの頃でしょうか。

 

なお監督はスコット・マクギー&デヴィッド・シーゲル。 「キッズ・オールライト」を作ったチームだそうです。

予告編の動画です↓

メイジー役オナタ・アプリールの自然な演技に驚きました。

大好きな両親が喧嘩しているとき、本当はいやだけどパパとママの言う通りにするとき、マーゴとリンカーンに素直に甘えるとき・・・複雑な感情を目で演じ切りました。可愛くって何とか守ってあげたいという気持ちになります。

 

全員それぞれにメイジーを愛しているのに・・・

自分勝手で気の強いママ。最後にはメイジーの気持ちに寄り添おうと変わっていきますが、強権的で激しい性格なんです。ツアーを休もうと交渉したり、何とか娘と一緒の時間を作ろうとはするものの、うまくいかない。

リンカーンと結婚したのも、昼間世話できるからという身勝手さでした。

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英国で暮らさないか? とメイジーを誘ったパパですが、あきらめます。離婚したうえ母親や友達に全く会えなくなるほど環境が変わるのは良くないと思ったのでしょう。映画では髪を伸ばしていますが↓

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二人とも不器用だと思いました。夫婦として気持ちが離れたのは仕方ないけど、もう少しメイジーのための生活を考えることはできたんじゃないでしょうか。だって財力ありそうですから。言葉だけでなく行動が大事ですよね。

 

代わって面倒をみることになったのが元シッターのマーゴとステップファザー(とクラスメートに紹介します)のリンカーン。

映画「メイジーの瞳」より

公式サイトからお借りしました。3人で人形劇を見るシーン。http://maisie.gaga.ne.jp/

とことん優しいんです。メイジーの寂しさをわかったうえで大切に守るように寄り添ってくれます、二人とも。

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IMDbより。Photo by JoJo Whilden - © 2013 - Millennium Entertainment

アレクサンダー・スカルスガルドは、ちょいルーズな性格で、いつもヨレヨレのTシャツで細くて猫背気味に歩く冴えない風貌ですが、途中から天使に見えてきましたよ。

(バーテンダーの制服姿は格好いいです! 場末のバーではなく、高級レストランのカウンター担当という感じ。)

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IMDbより。Photo by JoJo Whilden - © 2013 - Millennium Entertainment

オナタ・アプリールが一番仲良しになった共演者がアレックスだそうで、オフショットでもイベントでも一緒の写真がたくさんありました。インタビューも楽し気で本当の親子みたいです。

↓インタビューが充実しているGabaさん発見。

 

リンカーンが作ってくれた料理を食べないのは「こわしたくないから」と言うメイジー。そうだよね、綺麗だし作ってもらったのが嬉しくて宝物にしたいよね。

 

なかでも幸せすぎて胸が締め付けられるハイラインでのシーン↓

やがて3人は海辺の空き家で夢のような生活を始めます。リンカーンとマーゴも惹かれ合い、本当の家族のように過ごしますが、続くわけはないんです。経済力ゼロの二人ですから。

 

正式に結婚しても親権を得ることは難しいでしょう。ママは変わるかもしれないし、メイジーはやっぱりママが好きだし。

幸せなおとぎ話のような生活、エンジェル達との暮らしが続かないことはメイジーも分かってる。そんな複雑な表情で終わります。

 

重く辛辣に描くことも可能なテーマですが、悲劇や感動をおしつけるような演出はなく、淡々と優しさにフォーカスしたことでほろ苦さが増しました。良作でした。

 

メイジーには、もっと心から笑ってほしいと思います。まわりの大人たちはまず安心させてほしい。

自分の経験上、苦しくなるシーンもあったので、よけい癒しのパパのシーンがしみました。

 

メイジーの瞳 [DVD]

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wikipediaより