カノンの海外ドラマ漂流記

気ままな海外ドラマ中心のブログです。ネタバレ記事中心です。

ドラマ「リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ」Ep2 感想 ~ 女優チャーリーがモサドの作戦に参加します

ジョン・ル・カレ原作の「リトル・ドラマー・ガール」(U-NEXT配信中)第1話はこちら

第2回の日本語タイトルは “恐怖のスカウト” 。ええ、恐怖以外の何物でもないですよね。

 
 
 
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デートのつもりだったのに、いきなり知らないおじさん達に囲まれる、って。ひどい話です。「人身売買でもやってんの?」と強気で突っ込むチャーリーですが、さすがに怖がっていました。ナクソスで知り合ったローズもグルだったとは。

 

 

チャーリー抜擢の原点は、テロリスト、サリムとの接点でした

 
 
 
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アテネのアクロポリスでデートらしきものをするチャーリー(フローレンス・ピュー)とペーター(アレクサンダー・スカルスガルド)

 

冒頭は気持ちのいい可愛いシーンでした。静かな夜に他愛もない話をするわけです、影を使って遊ぶとか。舞台などでもよく見る演出ですが、恋人というわけでもない2人の距離感が出ていたと思います。

 

実際、キスは途中でやめるし「最低限の嘘しかつかないように努力した」とペーター(ギャディ/ミシェル)は後から言ってました。このデートもどきは、チャーリーが作戦にふさわしいかどうかの最終テストだったのでしょう。

 

チャーリーはいきなり見知らぬ邸宅に連れて行かれて、マーティ(マイケル・シャノン)達に囲まれ、演技の才能を生かして平和のためにイスラエルに協力してほしいと頼まれます。

 
 
 
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初対面ではなく、実はロンドンのオーディションで会っていたわけですが、チャーリーの演技力を見込んだモサドは、作戦への協力をそれはもうしつこく求めます。というか、追いつめてますよね。

 

人並はずれた才能を無駄にするんじゃない。これからある芝居を打つ。カットの声はかからない、絶え間なくアドリブが続く」根っからの役者にはトライしてみたいと思わせるものがあるんでしょう。

しかし、役柄はテロリストというのは大変なこと。単なる民間人ですからね。

 

 

 

 

そもそものきっかけは、イギリスで行われた政治集会でした。過激派のパレスチナ人戦闘員(サリム)が語る体験談を聞き、軍事訓練を体験するというもので、チャーリーは軽い気持ちで参加していました。その時の発言やキャラクターが気に入られたようです。

 
 
 
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 政治の季節であり自由と反逆の時代が終わりつつあった70年代後半です。反帝国主義を語るのは、進歩的な若者にとってごく普通のことだったに違いありません。

 

口先だけの政治信条なのに突っ込まれ、ドラマティックにでっち上げた身の上話も暴露され、だんだんと断り切れなくなっていきました。ペーター/ギャディが言います。「そのフィクションの方が自分にふさわしいと思ったのだろう。俺たちの同類だ」で、チャーリーはギャディを殴ります(今回は成功)。フィクションを演じ切る力、フィクションをリアルに見せる人物が必要だったということでしょう。

 

相手を追いつめていく会話は、あの世界では必要な交渉術なんでしょうが、関わりたくない世界ですね。あらすじだけ書いていると説得力ありませんけど、油断のできない迫力ある会話が続きました。

 

捕らえられたサリムに対しても芝居でだまして聞き出そうとします

 
 
 
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↑1枚目はマーティの部下ダニエル役ダニエル・リットマン、2枚目がサリム・アル=ハダル(別名ミシェル)役アミール・ホーリーです。ご本人はイスラエルの俳優さんでアラブクリスチャンらしい。

ちなみに3枚目はテロリスト側のスイス人弁護士アントン・メスターバイン役ジェフ・ウィルブッシュ、4枚目は劇団員ウィリー役エドワード・デイヴィス。 

 

愛車の赤いメルセデスでトルコからギリシャへ爆弾を持ち込んだサリムは、ドイツの協力を得たイスラエル側工作員によって国境で拉致されます。

前回の外交官宅爆破事件の首謀者としてずっとマークしていた人物でした。

 

このあたり、偽のパスポートを見せたり、性癖や嗜好を研究してトラップを仕掛けたり芸が細かいです。ジョン・ル・カレならではのリアリティあるディテールの積み重ねでたたみかけてきます。

 
 
 
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サリムが監禁されるのは、ミュンヘンの元オリンピック選手村の一角にあるアパートメント

なんですが、この奥に防音室が作ってありまして(上の写真奥の黒い壁)、どんなに大声を出しても外に聞こえない。外の音も聞こえません。どこかの軍事基地で捕虜にされ、監禁されたと思わせるわけです。

 

手が込んでます。この作戦のために呼び寄せられた酒好きの女性分析官や写真などの証拠を偽造する老人など、諜報活動のスペシャリストたちが活躍。人道支援の活動家のふりをした女性は、言葉たくみに家族への手紙を書かせます。写真を合成して兄弟が捕まったように思わせたり、薬を飲ませて時間の感覚を失わせたり。フォトショップの無い時代ですからアナログの細かい作業が続きます。

 

だんだんと頑ななテロリストの神経をすり減らし、情報をはかせるのが目的。最終目的は爆弾作りの天才、長兄ハリールを捕らえることです。

 
 
 
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実在するようでしない(捕らえられている)サリムをイメージした写真。ほとんど捕らわれたままのサリムですが、その存在は全編通して大きいものでした。

 

 

 

 

チャーリーが選ばれた理由の一つに、サリムのスウェーデン人の恋人アンナの存在があります。前回、爆弾を運んだことから分かるように、サリムの活動に賛同して協力していたアンナ。

 

マーティはチャーリーにアンナの身代わりとしてテロ組織に接触してもらいたかったわけです。それが “愛を演じるスパイ” というわけですね。

 

次回、いよいよ作戦実行です。

 
 
 
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ギャディ(ペーター)はずっとウォークマンでサリムの話を繰り返し聞いていました。イギリスの政治集会で語ったサリム自身の話で、これがその後の鍵になります。

 

 

↓まとめました

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Florence Pugh