カノンの海外ドラマ漂流記

気ままな海外ドラマ中心のブログです。ネタバレ記事中心です。

ドラマ「リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ」Ep4 感想 ~ 演技と現実がいっしょになる恐怖

「演じる」ことはこの作品で何を意味しているのか、はっきり示されたエピソードでした。第4回「幕開け」です。

 

前回テロリストの恋人役として爆弾を運ぶ作戦についた女優チャーリー(フローレンス・ピュー)。パートナーのギャディ(アレクサンダー・スカルスガルド)が見守るなか、目的地に到着しました。そして事態が動きます。

 
 
 
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ジョン・ル・カレ先生の出演シーンです

オーストリア国境の検閲でとめられたときはヒヤヒヤしましたが、何とか任務遂行。爆弾入りのサリムの愛車、赤いメルセデスを広場にとめてカフェに向かい、念願のすもも酒(スリボヴィッツ)を注文しました。

オーダーを受けてくれたウィエター役が、カメオ出演のジョン・ル・カレ

 
 
 
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オーストリアのお金が無いというチャーリーに代わって、神父の扮装でカフェで監視していたギャディが支払います。出発前にちゃんとお金受け取ってましたからね。ギャディに話しかけたかったみたいです。

 
 
 
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この後ギャディは、指令を無視してチャーリーに同行します

 

いっぽうマーティ(マイケル・シャノン)の監視チームは、車を引き取ったのはサリムの恋人アンナと左寄りのジャーナリスト、ロッシーノだったと確認。尾行してアンナを捕らえました! 爆弾も取り戻します。

 

アンナ、暴れる暴れる。マーティの右腕シモン(ミハエル・モショノフ)に噛みつくなど抵抗しますが確保されます。筋金入りのテロリストになってました。

 

逮捕ではなく、秘密裏に拉致したわけで、実際にこういうことあるんでしょうね。怖い世界です。

 

サリムをより身近に感じることになるチャーリー

ミュンヘンに戻ってお酒を飲み続けるチャーリー。極度の緊張から解放されて、ギャディに言いたい放題でした。ギャディも黙って面倒をみます。

「お礼も無し? 心配してくれただけ? この仕事、断らせたかったんでしょう?」は本音でしたね。

 

引退状態だったギャディはこの作戦のためにマーティに呼ばれたわけですが、以前、似たような作戦で協力者を死なせたことを後悔していました。「殺しは無し。俺のやり方でなら」と条件付きで引き受けていましたから、チャーリーの安全を最優先すると決めていたのは間違いないと思います。ついでに、この話の時(第2話)のギャディは髪がサラサラで長かったので、テロリストらしくルックスを変えたことになります。時計も違うものを右手にしていました。

 

ホテルで食事をしたように細工して後片付けをするなど、ギャディはここでも恋人(サリムとチャーリー)として疑われないよう証拠作りをしていました。

 

 
 
 
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翌日、マーティの基地に迎えられたチャーリーは、サリム/ミシェル(アミール・ホーリー)が薬で眠らされ、全裸にされた姿を見せられます

恋人なのだから、全身のあざや怪我など特徴を覚えるように、ということです。シビアで冷酷なシーンでした。たまらず「服を着せてあげて」と怒ったように言うチャーリー。

 

マーティは「フィクションを事実に変える。やつらは根掘り葉掘り聞いてくる。彼を隅々まで知り尽くしておけ」と言いますが、やつらって誰? テロリストが接触してくるってことでしょうか。

マーティはチャーリーにはまだまだ利用価値があると思っていたんですね。

 

マーティ達の考えにいら立つチャーリーをギャディはミュンヘンオリンピックでのテロ事件の場所に連れて行きます。「君たちの政府の二枚舌が元凶だ」ってそれはそう、イギリス人の作品ですからはっきり言いますが、サリムは確かに子供を殺しましたけど、「じゃあイスラエルには何の罪もないの?」と言い争うチャーリー。

 

過去を忘れない」と言うギャディですけど、これはパレスチナ側と双方にとって同じ論理になりますからね。

サリムの生い立ちやこれまでを叩き込まれたチャーリーが、サリムを少し気の毒に思っても不思議はありません。

 

さらに二人はサリム/ミシェルとチャーリーの手紙を偽造する作業に取り掛かります

マーティのチームがでっち上げた恋人同士という証拠ですね。文面を渡され、自分の筆跡で手紙を書くように言われます。

 

二人の愛の軌跡である手紙をそれぞれの自宅に保管する必要があるわけです。サリムは秘密の名前ですから、ミシェルと呼びかけます。

 
 
 
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最初は馬鹿にして文句つけてたチャーリーですが、文面に引き込まれます。ここはハイライトの一つでした。

 

真剣に愛し合う二人が思いを綴った手紙です。「あなたは言った、体も血もひとつになると」孤独と愛の激しい言葉を口にするのは、でもギャディです。

 

チャーリーは、サリムの生い立ちを叩き込まれ、全裸を見せられ、愛の言葉を聞かされ続けて、目の前にいるのがギャディかミシェルか分からなくなります

 
 
 
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俳優が役に入り込む時には、こういう思いをするものなのでしょうか。

フィクションと現実が混ざり合い、チャーリーはギャディをベッドに押し倒して我に返るわけですが・・・精神的に追いつめられていました。役が憑依するような迫真のシーンだったと思います。

 

以前「ドラマと現実を混同するのは危険よ」と話していたチャーリーでしたが、サリムの幻影を見て混乱するチャーリーをギャディは抱きしめて「君は国に帰る」と言い聞かせます。

 

「テロはまさに劇場だ」

後半はシビアで苦い展開でした。

 

マーティのチームは、サリムとアンナを赤いメルセデスに乗せ、爆破して殺します

 

「ここまでする必要があるのか」とメンバーも逡巡する作戦でした。はっきり亡くなったという事実が今後の筋書きに必要だからです。

ギャディは冷静に指揮していましたが、チャーリーは裁判が行われると思っていました。闇の仕事とはこういう意味なのでしょうか。

 
 
 
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マーティは、チャーリーの演技に大満足で、雇い続けると決めています。テロ組織は、重要メンバーであるサリムの死を知り、秘密の恋人に接触してくるはずだと。

 
 
 
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ギャディは明らかに反対です。

「チャーリーはもう引き返せない」と語るマーティに対して、ギャディは組織をあてにせず、自分でチャーリーを守ることに決めたんだと思います

 

ロンドンの自宅に帰ったチャーリーは、ミシェルの手紙の束を見つけ、詩集とともに読み続けます。

 
 
 
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マフムード・ダルウィーシュの詩集もありました。(個人的に中東といえば “詩” という印象が強いです。)

 
 
 
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手紙や詩をミシェル/サリムがミュンヘンパレスチナの地で話す映像が何度も出てきます

 

「僕の故郷ではユダヤ人が追放されることはなかった。父は仲良くすべきだと思っていた。シオニストパレスチナ人を下に見るけど僕らには誇りがある。チャーリー、信じてくれるかい?」

「君は僕のもの、僕は君のもの、君は僕の兵士だ」

 

途中から、ミシェルとギャディが交互に語るように映像が入れ替わります。チャーリーの中ではフィクションが現実の記憶になっていったように感じられる演出でした。

 
 
 
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↑ロンドンのチャーリーのフラットは70年代感満載のサイケな感じで可愛い。

 

イスラエルに対してパレスチナは劣勢です。飛行機も味方もいない。正義の声に耳を傾ける人はいない。

 

「僕たちに残されたのはテロだけだ。テロはパフォーマンスだ。テロはまさに劇場だ

愛を演じるのはテロという劇場、これがこの作品の二重のテーマなのですね。 「僕らの体と血は一つになった」というミシェルの言葉で終わります。

 

↓は二人のミシェルです。

 
 
 
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右がギャディ・ベッカー役で劇中ミシェルとしてチャーリーを支えるアレクサンダー・スカルスガルド。左が本物のミシェル本名サリム役のアミール・ホーリー(Amir Khoury)。こちらはレッドカーペットですが上は撮影中のようす。イスラエル出身の俳優さんです。

次回へ続きます。

 

 

John le Carre。Wikipedia寄り

John le Carre