カノンの海外ドラマ漂流記

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「二ツ星の料理人」感想 ~ 全身全霊で仕事ができる幸せ。ダニエル・ブリュールの優しさが切ない Netflix

男前なんだか控えめなんだか分からないダニエル・ブリュール見たさに5年前の映画鑑賞。どこから見ても男前なブラッドリー・クーパー主演です。

二ツ星の料理人(字幕版)

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  • ブラッドリー・クーパー
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美味しい料理シーンがいっぱい! 一流レストランの舞台裏

見ているだけでお腹がすいてきます。「二つ星の料理人(BURNT)」(2015)

天才料理人アダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)が、チームで協力して一流レストランを引っ張っていく成長ストーリー。

 

一度は追放されながらも立ち直り、新たな店を成功させようとスタッフを集めますが、独りよがりな横暴さから再び失敗。まわりに助けられてサクセスするお決まりのストーリーです。

 

何といっても料理が素晴らしい! 

舞台は一流フレンチレストランですから、料理一つ一つがリアル、かつ美しい! 調理法や厨房のチームワークも見どころです。

といってもブラッドリー・クーパー、最初は怒鳴りまくり、キレまくり、皿を投げ、すぐクビにするわトラブルだらけ。麻薬中毒や借金問題もあり、どんだけ天才でも一緒にやっていくのは絶対ムリでしょ。

でも、関わる人みんな料理が好きで必死なんです。問題児でも腕は確かですから何とかついて行きますが・・・ 

こういう人と一緒にやっていくのは難しいですね。「完璧でなければ捨てろ」ですから。

料理の世界は厳しいと聞きますし、職人の世界ですから腕を磨くまでは大変なんでしょう。修業時代、ほとんど寝ていなかったという話もありました。

 

一生懸命仕事に打ち込む人、大変だけど素晴らしいなと思います。そしてうらやましい。
眠る時間をけずっても打ち込める対象=仕事なんですから。そういう仕事を見つけることができたら幸せだなあとシミジミしてしまいました。

 

といってもアダムは幸せすぎますよ。みんなに助けられて成長して成功するキャラクター。自分勝手だけど憎めない人という設定です。

 

顔ぶれだけでも楽しいキャスト紹介

主な登場人物は、まず右腕シェフのエレーヌ(シエナ・ミラー)。恋人になる役。すっぴんに近い設定で、職人肌な感じがとても格好良かった。メイクすると美人過ぎるのですが、この雰囲気、大好きです。

ストイックな料理人でシングルマザーなんです。仕事で一緒にいてやれない娘の誕生日、アダムがプレゼントするケーキが可愛い💗↓

 

二つ星レストランのホテルオーナーの息子でメートル・デトル、トニー(ダニエル・ブリュール)。元はアダムと一緒に修業した仲間で友人。アダムの才能を認めていてシェフとして迎えます。

おひげが無いと優しさが増しますね。ちょっと大人の「グッバイ、レーニン!」アレックス風味。

 

ライバルの三ツ星シェフ、リース(マシュー・リス)

同じ師匠のもとで学んだ旧友。反目しあって騒動が起きますが、どん底に落ち込んだアダムを励ましたり。

 

そして脇役陣が豪華です!

アダムの元恋人アンヌ・マリー(アリシア・ヴィキャンデル)。借金を肩代わりして、父(師匠)の形見のナイフを贈ってくれます。

 

料理評論家シモーヌ(ユマ・サーマン)。レストランの評判にひと役買ってくれる。

 

セラピー担当の精神科医ロッシルド(エマ・トンプソン)

人に頼るのは弱いことじゃない、強いからできること、と“不完全”を許せないアダムの心をほぐしてくれます。

 

さらに、カメオ出演、スタッフにスカウトしたシェフの同棲相手サラ(リリー・ジェームズ)

昔の仲間で、いっしょにレストランに参加したものの、かつてのアダムの仕打ちが許せず裏切るミシェル(オマール・シー)

 

⬇︎全員紹介動画

 

なお、エレーヌの元カレ役(たぶん娘の父親)でジェイミー・ドーナンが参加したけど最終的にカットになったそう。

 

ブラッドリー・クーパーはじめ、みなシェフに見えるよう猛特訓したみたいで、厨房の雰囲気はリアルです。

 

ダニエル・ブリュール、複雑だけど爽やかなキャラでした

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↑写真は時計の広告ですが。「エイリアニスト」「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュール。

 

「世界一のレストランにしてやる」と勝手にレストランに押しかけてきた友達のアダムを迎えます。もちろんいい店にできたら最高ですからね。

 

でも服をたたんであげるシーン、朝食を作ってやるよというアダムに「僕を愛せない代償?」と言うトニー。

ロッシルド先生に言われるまでもなく、アダムは昔からトニーの気持ちに気が付いてたんですね。だから甘えて押しかけたんでしょうが、気持ちには応えられない。でも、受け入れてくれたトニーのためにも頑張らなくてはという空回りはどこかにあったように感じます。

 

そんな関係性がなくても思い通りにならないと暴れたでしょうけど、このちょっと微妙な関係がイケメンシェフの再起物語に新鮮さをプラスしたのは確かでした。重くのしかかるわけではなく、ピリッと切ないなあ、と感じさせる。この程よいピリッと感が上手かった。

 

トニーは不可能だとは分かってます。でもアダムの横暴に黙って耐え、一度は去ったエレーヌを説得するなど黙々と支えます。

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↑映画とは関係ない写真だけど、基本こんなイメージ。

 

アダムにキスされて狼狽を隠すシーンは可愛かった。ほんとにチャーミングな人ですね!

 

ストーリーのなかでは、5年で料理の嗜好が変わったというシーンも面白かったです。料理界のトレンドはダイナミックですからね。低温調理、真空調理が一般に浸透したのはこのくらいの時期だったように思います。

素材選び、新しい調理法など日々メニューの開発に取り組む料理人の姿勢は感嘆するばかりです。

それにしてもミシュラン調査員の伝説は根強いのですね。一喜一憂するのも分かります。

ミシュランの評価が絶対だとは思いませんが、そして競争を煽ってしまうのも確かですが、そう的外れではないでしょう。分かりやすいですし、話にしやすい。指標の一つであることは否定できません。

 

最後まで厨房シーンには引き込まれました。そして本物のミシュラン調査員に対しては、「いつも通りに、力を合わせて、やることをやる」。

今回は三ツ星にはなれなかったみたいです。スポ根みたいでしたけど、キビキビとした厨房の動きが爽快でした。