ドキュメンタリー「アート・オブ・デザイン」(Abstract: The Art of Design)面白いです!
シーズン1は8人、シーズン2は6人、計14話(14人)で世界を代表するデザイナーに取材。関係者のインタビューも含めて創作のヒントを描くドキュメンタリーです。
まだ全部は視聴できていませんが、一部ご紹介します。
料理やダンスや自然など、どんどん充実しているNetflixオリジナルドキュメンタリー。
そのなかで世界のデザイナーが「デザインを語る」シリーズです。
↓シーズン2のまとめ動画
毎回、1人のデザイナーに焦点をあてて創作のプロセスを紹介
例えば、2020年公開のシーズン2第5回、イアン・スパルター(デジタルプロダクトデザイナー)。
インスタグラムの現在のロゴをデザインした人です。
最初はもっと具体的なカメラのデザインでしたよね。でも実は、小さく虹が描き込まれていたのを覚えていますか?
この小さな印象的な色を生かし、現在のデザインを作るうえでどんなディスカッションを繰り返したか、何にフォーカスしたかが実際のたくさんの映像とともに紹介されます。
単純に一つの絵柄を作るのでなく、使い勝手や商品の機能を考えて考えて試行錯誤して練り上げていくプロセスは驚きです。
特にアプリの場合、どう使うか、なぜ使うかがとても重要で、機能とデザインが密接に関係していることがよく分かります。
デザインが商品の成否を決める実例もでてきました。
「まだ歴史が浅く、さまざまな分野を融合したデザイン」ですから。
ナイキのスマートウォッチ FUELBAND のデザイナーでもあったそうです。フューエルバンドの遺産はアップルウォッチに受け継がれることになりました。
プロダクトデザインである以上、制約があります。その設定のなかで何を解決できるかをデザインを通して考えるという、膨大で深い作業が丹念に撮影されています。
「プロダクトデザインは、人の考え方やアプローチ、抽象概念のとらえ方を考える」
「今あるツールの未来を見定めることが重要だ」
「デザインに終わりはない。公開は第一歩だ」
現在進行形のテクノロジーの進歩とともにデザインもどんどん進歩しているのですね。
でもデザインは、いわば、ゼロから作り上げるもの。人間の想像力が進化をもたらすわけで、どの逸話も濃くて興味深いです。
ディテールと技巧を重視する日本の文化に触発されて、現在は日本在住。
最後は富士山のアップとともに以下のコメントが流れました。
「デバイスを持つ意義を探求するのが僕たちの仕事なのかもしれない。新しい社会規範を提案できる可能性は十分にある。
今は情報過多の時代だ。何も介在させずに世界を体験する場が必要になってくる。道具に頼らず本能を使うことだ。創造する余裕が生まれるだろう」
ナイキのシューズデザイナー、書体デザイナーなど分野は様々
↑2017年公開、シーズン1の紹介動画
シーズン2の第1回は、コンテンポラリーアーティスト、オラファー・エリアソンでした!
シーズン1では、ナイキでエアマックス、多くのエアジョーダン、アールなどを生み出したティンカー・ハットフィールド、建築家ビャルケ・インゲルスなどが登場。
他に、「ザ・ニューヨーカー」の表紙を手掛けるイラストレーター、クリストフ・ニーマンや舞台デザイナー、カーデザイナー、インテリアデザイナーなどが取り上げられています。
最初に見るきっかけになったのは、書体デザイナー、ジョナサン・ヘフラーでした。
古い腕時計のデザインを解体して新たな味わいの書体を作り上げるプロセスが中心です。
昔、グラフィックデザイナーに書体がいかに大切かという話を聞いたことがあったので、興味深く見ました。
「全ての文字は人の手で生み出された」生活のなかに、どれほどデザインと創造力が溢れているか気づかされますね。
新たに書体をデザインするとき、最初に描くのは H と O なのだそうです。H は真っすぐな横棒と縦棒の組み合わせ、O は円形。
「理論上は、この2つの文字を描けばデザインの基本ラインは決まる」という話も新鮮。
約20年前、ティファニーのロゴをデザインした人で、現在の書体を作り、どんなときも同じに見えるようにしていったそうです。平面に描かれたり、指輪に刻印されたり、立体的に使われたり。どんな背景でも同じように見えなくてはいけないそうです。
どのデザイナーの話もとても面白くて情報量が多くて興味深い現場ばかりでした。少しずつ見て行きたいと思います。