カノンの海外ドラマ漂流記

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「LAW & ORDER: SVU 性犯罪特捜班」シーズン21 Ep1 感想 ~ #Me Tooを通して描く原点


本国ではシーズン22が始まりましたが、日本でもシーズン21第1話「スターへの階段(I'M GOING TO MAKE YOU A STAR)」放送開始です。

 

カリシ(ピーター・スカナヴィーノ)は念願の検察へ。SVU担当の検事補となります。そして強力な新キャラ登場。

ワインスタイン事件をモチーフに、直球勝負でこの番組の原点が描かれました。

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女優をレイプする大物プロデューサー事件

時代ですね。動画配信会社「ピクフリックス」社長、サー・トバイアス(トビー)・ムーア(イアン・マクシェーンが犯人。映画のオーディションと称して、女優をレイプする大物です。

 

被害者はベネズエラ出身、20歳の無名女優ピラール・レイエス

対してトビーの弁護団は、元判事・元連邦検事・元司法長官など強者揃い。現役の検事、副市長、検事事務所の役員までが協議に参加する鉄壁の布陣で、まさに怖いモノ無しのやりたい放題です。

 

新たな被害者を探し出しても、次々に証言・証人に手を回され、起訴することができません。証拠のオーディション映像は編集されていました。

 

しかも新任のバネッサ・ハディード主任検事は、最初から勝てる見込みは無いとNY市警を相手にしない弱腰ぶり。直属の部下となったカリシは板ばさみ状態でした。

なかでも狡猾だったのが、女優ジェマ・ブルックスのケース。

証拠を固めたものの、TVに出演してトビーとジェマは不倫を認め、妻に謝罪するという手にでました。警察の捜査は的外れだと主張。ジェマは対価として、監督をまかされ国外に。

 

しかし、このTV映像で「策に溺れた」と気づいたのがカリシ。ピラールを襲った部屋の家具を入れ替えていたことが分かり、アシスタントのシンディが家具の配送会社に指示する防犯カメラの映像を入手。レイプをアシストした証拠隠滅罪として、シンディの協力をとりつけます。

 

そしておとり捜査です。風紀課のカトリアーナ・タミン(通称キャット)が女優役としてオーディションに参加。レイプぎりぎりのところで逮捕することができました。

 

まるでレッドカーペットのようにフラッシュを浴び、余裕たっぷりにNY市警に入るトビー。

初公判では厳しい戦いが予想されましたが、法廷の前には多くの被害者が#Me Tooなどのプレートを手に集まっていました

多くの被害者が声をあげたことが勝利につながったと描かれました。

最後は、リビア・ベンソン警部補(マリシカ・ハージティ)ドッズ本部長(ピーター・ギャラガーがバーで語り合うシーン。

ドッズは交通安全タスクフォースに左遷されたと語ります。納得できない、闘うというオリビアに「これで丸く収まる。私が条件を出した。君にはやるべき仕事がある。」とドッズ。

 

トビーを有罪とするため、リビアを警部にし、SVUが今まで通りの捜査ができるよう、ドッズはトビーの息がかかった上層部と取引をしたのでした。

 

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●セクハラや性的暴行でハーヴェイ・ワインスタインがNY市警に逮捕されたのは2018年でした。今回のエピソードは2019年9月放映です。

NYの裁判所が23年の刑を言い渡したのは2020年に入ってからでした。

 

実際のワインスタイン事件も、逮捕・起訴・有罪判決までどれだけの障害があったのだろうと想像せざるを得ません。

 

巨大ビジネスを動かす人物なら、政治的にも強力な人脈をもっています。

信念をもって捜査を続けた警察・検察、そして声を上げた被害者たちのパワーは尊敬に値します。強く危険な妨害がたくさんあったはずですから。

 

「LAW & ORDER: SVU」は、そのパワーを先導し続けた番組といっていいでしょう。

性犯罪の実態、被害の衝撃を伝える使命感は胸に迫ります。もちろん、リアルでクオリティの高いクリエーションだからこそ。この存在意義が薄れることはないでしょう。

 

原点を描くとともに、決意表明とも受け取れるシーズン第1話でした。

 

↑ほんとうに憎まれ役が上手、イアン・マクシェーン。ワインスタインも大英帝国勲章をもらっていたのですね。

 

●この写真ではプレートはまだ警部補ですが、横には RBG(ルイス・ベイダー・ギンズバーグの人形が!

窓側にも RBG の写真が飾ってありました!

 

●前シーズンの最終話、大物逮捕のために弁護士資格と引き換えの大勝負を打った弁護士ニッキ・ステインズ(キャリー・ソーン)とピーター・ストーン検事(フィリップ・ウィンチェスター)

 

リビアに「君にはまっすぐでいてほしい」と語って去ったピーターの後任が・・・あの検事かぁ・・・。

ずっと法律の勉強を続けていたカリシに頑張ってほしいですね!

↓送別会です。

 

リビアは、ドッズの推薦でCaptain警部に昇進。 

息子の死などいろんなことがありましたが、お互いに尊敬できる強い信頼関係で結ばれました。

ドッズさん、また登場してほしいです!

 

●証人が証言できないケース、よくありますよね。

でも今回も誰かが証言できるんじゃないか、最後はアシスタントが切り札になるんじゃないか、自分も被害者だと証言するんじゃないかと思っていました。

 

が、あくまで警官チームが体を張り、最後は無名の被害者たちが声を上げるという展開! メッセージを効果的に印象づけるたくみなストーリーだったと思います。

 

↓キャット登場。がんばりました。

 

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