カノンの海外ドラマ漂流記

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ドラマ「ザ・スプリット 離婚弁護士」シーズン1 感想 ~ 結婚・離婚を通してファミリーを描いたドラマ

ドロドロの離婚話が続く法律ドラマかと敬遠していたのですが、違いました。離婚弁護士」という職業の姉妹・母娘を通して、それぞれのファミリーや人生を描くドラマ。

 

毎回いろんな離婚案件が登場します。でもメインは、人生の大きな決断である「結婚」「離婚」を通してそれぞれの人生を見つめ直すドラマでした。

 

あ、もちろんドロドロも少々ありまして、それは離婚弁護士たちメインキャラクター自身の物語。

リアルでシビアなヒューマンドラマです。hulu配信中。BBC公式はこちら

 

離婚弁護士であるファミリーが主人公

左から、母ルース・デフォー(デボラ・フィンドレイ)、次女ニーナ・デフォーアナベル・スコーリー)、長女ハンナ・スターン(ニコラ・ウォーカー)、三女ローズ・デフォー(フィオナ・バトン)。

 

うち、母・長女・次女の3人が離婚弁護士

母は、19世紀から続くファミリービジネスの長でロンドンを代表する著名な離婚弁護士。30年前にベビーシッターだった女性と出て行った夫がいきなり帰ってきたことでひと悶着。常に強気で堂々とした女性です。

 

長女が主人公。ファミリーの事務所を離れ、大手法律事務所N&H(ノーブル&ヘイル)に移籍。法廷弁護士である夫ネイサンと3人の子供がいます。
実は、同僚のクリスティ・カーマイケルとは、大学時代のルームメイトで駆け落ち予定だったという間柄。40代前半の設定?

奔放な次女は結婚する気はなく、母の事務所で働いています。酔うと抑制がきかなくなりますが、母と姉の間を取り持つ立場でもあります。30代後半。

 

ベビーシッター業の三女の結婚準備がシーズン1通してのテーマのひとつ。父の記憶はほとんどない30代前半。

真面目な婚約者とこのまま結婚していいのかと悩み、一度は婚約破棄になるものの最終回で結婚します。

 

世相を反映したいろんな離婚ケース

 

毎回、さまざまなカップルが登場して興味深かったです。

 

例えば、人気コメディアンとその妻でマネージャーの場合、妻のプライバシーを笑いのネタにする限り子供への面会を認めないパターン。

有名サッカー選手とモデルの婚前契約では、女性のスキャンダルを新聞にリークして条件を変えさせようという戦法に翻弄されます。

がん闘病中の妻の卵子を財産と見なすかどうかという法廷闘争は苦いものがありました。

そして、巨大企業のCEOマッケンジー夫妻の離婚問題がシーズン通しての大きな案件となりました。

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妻ゴールディ役はミーラ・サイアル Meera Syal。夫と友人が浮気したことだけでなく、いっしょに会社を大きくした経緯から財産や経営権を巡る争いに発展します。

夫側弁護士が母と次女、妻側弁護士が長女という案件でした。

 

いずれの場合も、クライムドラマのような厳しい結末というより、苦いながらも人生に前向きになるようなお話だったのは救いでした。

夫の名前が不倫サイトで暴露された女性閣僚のケースはつらかったけど。
離婚は大臣を辞め、子供たちが巣立つまで待つのよ・・・という結論でしたから。

 

登場人物それぞれの恋愛が複雑です

 

長女ハンナを中心に、ファミリーそれぞれの問題が入り組んでます

 

まず、父親問題

突然帰国した父親との距離感が難しい。不倫→出て行ったことを覚えている長女と次女は否定的ですが、三女は結婚式に出席してほしいと言い、現在のパートナーも式に招待したいと言い出します。

 

父から娘たちへの手紙や贈り物を隠していた母ですが、いまだに夫への愛情が残っていたのでした。

そして、心臓の手術をしていたらしい父。最終話では、三女の結婚式翌日に亡くなってしまいました。死を覚悟して娘に会いに来た父との和解までの道のりが、単純でなく丁寧に描かれます。

 

そして母ルースは、経営難から事務所を売却せざるを得なくなります。

 

次女のニーナは、毎週違う男性と寝ているそうですが、顧客だったコメディアンのレックスと付き合い始めます。奔放に見えてストレスを抱えており、万引きが止められないというのは心配なところです。

そして ↑ 酔って全員の異性関係をぶちまけたり。

 

この番組を見るきっかけはアナベル・スコーリーでした。「メディチ」では賢く凛々しいコンテッシーナ役。コジモ・デ・メディチリチャード・マッデン)の妻として世界史・美術史を左右する立場でしたからね。弁護士役と知ってぜひ見てみたいと思ったのでした。

強気でいながら複雑な次女の立場を演じています。

 

↓ は長女ハンナ。演じるニコラ・ウォーカーは、ケンブリッジ大学の演劇集団フットライツ出身。名門RADAを経て舞台や映画、ドラマで活躍中です。TVドラマでは「MI-5 英国機密諜報部」やステラン・スカルスガルド主演「刑事リバー」などに出演。

典型的な美人ではないけれど、目力がすごい演技派ですね。

冷静で有能な弁護士に見えますが、大学時代から交際していた夫と3人の子供がいるだけに家庭も大忙しです。

母や姉妹との関係だけでなく、長女とボーイフレンドのために悩んだ末にピルを手に入れたり。

 

終盤は、いっしょに働くことも多い法廷弁護士の夫ネイサン・スターン(スティーヴン・マンガン)の不倫発覚。

寂しかったからだというネイサンにとっては一時的な逃避でした。ハンナに結婚生活を続けたい、心の整理ができたら戻ってほしいと言います。

 

が、ハンナは元恋人といえる同僚クリスティ・カーマイケルと毎日顔を合わせる状態。結婚前夜に寝て駆け落ちするはずが、当日母親に(言葉にはしないものの)止められた経緯がありました。それが今になって関係が復活してしまい・・・シーズン1は終わりました。

 

↓シーズン2のヴィジュアルですが、右がクリスティ。

それはもう、駆け落ちしたくなりますって!
(駆け落ちって言葉、今も使うんでしょうか?)。

渋くて格好いいんです! しかもちょっとあやしい、不安定な雰囲気も漂わせていて、個人的に無視できない存在です。

 

演じるのは Barry Atsma。発音はバリー・アツマでいいんでしょうか? デンマーク人のあいつ、オランダ系よ、というセリフのまんまオランダ人の俳優さんでした。

英米、オランダ、ドイツなどで幅広く活動中。

最近は、ドイツ-ルクセンブルクのドラマ「Bad Banks」で投資銀行家の役で有名なようです。ええ、いかにもひとクセありの銀行家や弁護士が似合いそう。

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1972年、英国生まれのオランダ人。父親の仕事の関係で英国、ギリシャやブラジルなどで育ったそうです。

 

で、クリスティはハンナが忘れられず、結婚→離婚。浮気の経験は数知れず。夫にも浮気されたハンナは男性の倫理観が分からないと言いますが、夫以外の男に気持ちがある場合はどうなんだ、と。

家庭がある場合、それは・・・避けて通りたい難問です。

  

最後に関係が復活してしまったわけで、シーズン2では、嵐の予感。シーズン1が2018年、シーズン2が2020年の放送でした。

 

離婚弁護士の役割とは?

↑最後は三女ローズの結婚式。母と一緒にバージンロードを歩きました。

 

人生、ハッピーエンドのその先が長い。離婚弁護士を通して、つまり「離婚」から見えてくるさまざまな結婚生活が描かれています。

 

結婚式での母ルースのスピーチが印象的でした。

愛と憎しみは、より糸のようなもの。初めにあった愛は最後もそこにある。多くは憎しみの陰になっているけれど。

まず依頼人の話を聞き、本当に2人が終わりなのかを考える。依頼人の言葉に本当の愛が聞こえてきたら和解を促す。

愛に乾杯。長く続くように

 

離婚を通して結婚を考えるテーマでした。30~40代らしき3姉妹、その親世代というリアルな物語です。 

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↑ 背景は30年前のデフォー家、親子のビデオです。