2017年に放映された「Line of Duty」シーズン4のネタバレ感想です。前回(第2話)はこちら。メインキャスト3名についてはこちらへ。
第3話「In the Trap」では、新しい証拠を掘り起こし、新しく罪を着せる被疑者が増え、最後、AC-12のスティーブ・アーノット巡査部長(マーティン・コムストン)に大事件が起こります。
- 【ロズの誘導】殺害したティム・アイフィールドを犯人にしたい
- 【ハナ・レズニコフ】正当防衛でティムを殺したと巧みに誘導
- 【ロズとヒルトン】さらに距離が縮まり、共謀関係に?
- 【ロズのアリバイ】新キャラ、ジェイミー・デスフォード巡査が得点
- 【ニック・ハントリー】妻の行動に悩むなか、スティーブが襲われます!
- ~~~~~感想~~~~~
【ロズの誘導】殺害したティム・アイフィールドを犯人にしたい
AC-12の捜査対象ロズ・ハントリー警部(タンディ・ニュートン)。
’This isn’t personal. She’s at the centre of everything. I just want to get to the truth’ #LineofDuty pic.twitter.com/iEZlqTn3K5
— Line of Duty (@Line_of_duty) April 9, 2017
2人の女性を誘拐・殺害、3人目のハナを誘拐・殺人未遂の事件では、マイケル・ファーマーを逮捕しました。
AC-12 は証拠の精査が足りない、冤罪の可能性ありと思っています。
この大事件の捜査班“トラップドア”は、ロズ・ハントリーからバッケルス警部に指揮権が移りました。
さらに、捜査ミスを告発した鑑識官ティム・アイフィールドを口論の末、殺害。
こちらの事件はハントリーが指揮。
両方の指揮権を奪い返して思い通りの決着をはかりたいと思っているようです。
その目的はどうやら、
❶“トラップドア” ではマイケル・ファーマーとティム・アイフィールドが共謀した
❷ティム・アイフィールドを殺したのは接点があったハナ
と誘導することだと分かってきました。
ティムは、誤ってロズ・ハントリー警部を殺したと思い、ホームセンターで工具を購入していましたからね。
目出し帽をかぶっていたその時の監視画像を入手していました。
マイケル・ファーマーに声をかけられた女性が現れ、さらに罪状を追加。
精神的にもろいマイケルにやる気のない弁護士は、服役を短くすることを考えようと言い始めます。
【ハナ・レズニコフ】正当防衛でティムを殺したと巧みに誘導
‘You were the last person we know of to visit Tim’s flat’ #LineofDuty pic.twitter.com/l8uFeYkham
— Line of Duty (@Line_of_duty) April 9, 2017
3人目の被害者になるところだったハナ。
ロズ・ハントリーは、ティムと最後に接点があったことから取り調べを始めます。
ハウスクリーニングの仕事を依頼したティムですが、殺されたはずの3月17日の翌朝、日取りを変更したいというメールを送っていました。
面識があったはずというハントリー側は、「あなたを容疑者から除外するためよ」と家宅捜索を言いだします。
それでもハナが拒絶すると、逮捕。
ハナの自宅を調べ、性的な仕事をしていたことを突き止めます。
そのうえで、ティムの部屋に仕事に行き、襲われたので正当防衛で殺したはず、と問い詰めます。
同情するように見せながら、強制帰国までちらつかせて追い詰める尋問テクニックは・・・見どころなんですが・・・酷かったです。
「警察はひどい」とハナが言い放つのも納得です。やっていないことの証明は難しいですから。
【ロズとヒルトン】さらに距離が縮まり、共謀関係に?
1 hour countdown! #LineofDuty continues shortly on @BBCOne pic.twitter.com/VeKshcywCO
— Line of Duty (@Line_of_duty) April 9, 2017
あと味悪いのはこの2人。
肩に触れたり手を握ったり、ボディタッチの多いヒルトン警視長(ポール・ヒギンズ)、典型的な大物ぶるオヤジのようです。
君を高く評価しているんだと言いますから、ロズとしても無下にはできません。
AC-12 がピンチの時にヒルトンに電話がかかってくるタイミングもあり、だんだん無視できなくなってきました。
テッド・ヘイスティングス警視(エイドリアン・ダンバー)は、捜査のことを正式に報告しましたから、ヒルトンがロズをかばい続けると厄介です。
【ロズのアリバイ】新キャラ、ジェイミー・デスフォード巡査が得点
ロズ・ハントリーの携帯電話を調べたスティーブが気づいたことは、ティム・アイフィールド殺害時のアリバイが無いということ。
‘Oh my god. Jesus Christ. He’s still alive?’ #Roz #Nick #LineofDuty @BBCOne pic.twitter.com/NQfeGodHL9
— Line of Duty (@Line_of_duty) April 16, 2017
ロズ自身と夫のニック・ハントリーは、体調不良で携帯の電源をオフにして自宅で休んでいた、と証言しました。
が、子供からの留守電などが残っていたことが分かり、ティムが殺された17日夜から18日朝にかけて所在不明だったと判明します。
17日の夜、携帯を自宅に置いて(忘れたと見せかけて)が外出し、18日朝には体調不良で遅刻していましたからね。
携帯を自宅に置くことで、追跡されても所在がばれないと思っていたことは明白。
スティーブは、夫のニック(ニコラス)に近づき、質問を続けました。
↓そして、人手不足のAC-12に助っ人として新キャラが登場。
Introducing DC Jamie Desford played by Royce Pierreson @RaycoPierreson #LineofDuty pic.twitter.com/1xqy00ZxbI
— Line of Duty (@Line_of_duty) April 9, 2017
本名ジェームズでも「ジェイミーと呼んでください」とフレンドリーなデスフォード巡査(ロイス・ピアソン)。
馴れ馴れしいと思ったようでスティーブはムッとしていましたが、ティムの階下に住んでいる看護師の女性から、新証言を引き出します。
それは、ティム殺害時刻の17日午後11時頃、タクシーが建物前にとまっていた、運転手は白人男性だった、というもの。
この2点、
●ティム殺害時、ロズ・ハントリー警部にはアリバイが無い
●同時刻、タクシーらしい車がいた
ことをきっかけに、捜査が動き始めました。
【ニック・ハントリー】妻の行動に悩むなか、スティーブが襲われます!
ロズ・ハントリーと夫ニックには2人の子供がいて、満ち足りた家庭生活のように見えます。
が、仕事優先のつれない妻とはすれ違いが続いていました。でもニックは真実が知りたい、妻を助けたいと思っています。
’Sarge, we got a reg on the car. It belongs to a Nicholas Huntley — Roz’s husband’ #LineofDuty pic.twitter.com/CSqKn76rLq
— Line of Duty (@Line_of_duty) April 9, 2017
スティーブ・アーノット君、粘りました。
ニックは弁護士ですから、証言が意味するところは分かっている、でも妻を問い詰めてもロズは言い逃れ、携帯を自宅に忘れた日は仕事だったとあくまで言い張ります。
ニックは、刑事事件の弁護士ジミー・レイクウェルに相談しました。
そんななか、ティム宅の近くにとまっていたタクシーに似た車をマニート・ビンドラ巡査が突き止めます。
なんと、ニックの車でした!
スティーブがニックの元に向かったことを知ったマニート達は、何とか連絡しようとしますが、スティーブはニックに電話中でつながりません。
スティーブが5階にあるニックの事務所を目指す途中、3階でエレベーターが開き、目出し帽の男がスティーブを襲撃。
バットで殴り、血まみれのスティーブを階段から突き落としたシーンで終わりました。
~~~~~感想~~~~~
●最後の数分間はドキドキしました。
電話が通じないなか、ニックが逃亡する、またはニックがスティーブに反撃するかと思いきや、オフィスに着く前に突然暴行されて驚きました。
常識人に見えるニックにそんな荒っぽいことができるとは思えないのですが、この事件の犯人がニックなのか他の誰かなのか気になります。
●今回は、珍しくAC-12による尋問は無し。
代わって、ロズ・ハントリーのチームが主導するインタビューシーンが見ごたえありました!
ハナを追いつめるロズ、ファーマーを責めるロズ、ファーマーに声を掛けられた女性を説得するケイト・フレミング巡査部長(ヴィッキー・マクルーア)。
ケイトを外すつもりだったロズですが、感心して引き留めたくらいですから。または、手元に置いて監視すべきと思ったのかもしれません。
そして、夫を説得するロズ。
質問の順番、答えに対する準備、何を言わせるかーー論理的に相手を追いつめる脚本の面白さがさらに冴えてきました!
‘It’s really great work, Kate. If there’s one reason we do this job, that’s it. We protect life’ #LineofDuty pic.twitter.com/e9n8xEYcE0
— Line of Duty (@Line_of_duty) April 9, 2017
●しかし・・・冤罪はこういうやり取りの中で生まれるのでしょうか。
今回は、明らかに罪に陥れようとする意図があったわけですが、「犯人は●●と●●、こっちは●●。あと一歩よ!」と鼓舞する雰囲気が正義の味方のようでやりきれません。
結論ありきでそこに向かって証拠を取捨選択するのがロズ・ハントリー警部のやり方だったわけですね。
思い余って暴走したわけではないところがさらに怖いです。
このままだと完全犯罪になりそうで目が離せません。
●細かい会話で多くの状況を知らせる構造がほんと面白いです。
ニックがロズに仕事やアリバイを聞くシーンでは、不倫を疑っているのか、と分かりむしろ安堵する表情がありましたし、タクシーの証言をした看護師は人種問題を気にしていました。
ジェイミーの「目撃者とは深入りしません」も苦い会話でしたね。
ハナは「清掃のプロ」だから、警察は殺した後の処理をしたと思っているとはっきり描かれました。
なお、ロズのチームでも、あくまでチーフを尊敬しているジョディ・テイラー巡査と、客観的なニール・トワイラー巡査部長の違いもはっきりしてきましたね。
●もちろんスティーブ君も心配ですが、主役ですから。
スティーブは「ロズ・ハントリーが真実の鍵」だと言っていました。たとえ犯人でなかったとしてもです。
修正されたKRG-13の証拠にも気づきましたが、まだまだ事件の全体像は見えていなくて、次回、どこが突破口になるのか楽しみです。