カノンの海外ドラマ漂流記

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ドラマ「LAW & ORDER: SVU 性犯罪特捜班」シーズン21 Ep4 感想 ~ 13歳の妊娠を巡る事件。キャット、トレバー登場です!

本国では2019-20にかけて放送されたシーズン21、 第4話「選択の重責(The Burden of Our Choices)のネタバレ感想です。

 

未成年の生殖権(リプロダクティブ・ライツ)を巡って、宗教と法州によって異なる法律母と娘の3つの要素が描かれました。

 

レイプによって妊娠した13歳の少女が、中絶のためにオハイオからNYに家出してきました。

 

保護しようとするNY州、中絶を認めないオハイオ州+家族のエピソード。

 

答の出ない重いテーマですが、キャットとトレバー・ランガンの再登場は嬉しかったです。

 

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始まりは、ハッピーな洗礼式

 

冒頭、アマンダ・ロリンズ刑事(ケリ・ギディッシュ)の2人目の子供の洗礼式でした。

 

リビア・ベンソン警部(マリスカ・ハージティ)、フィン・チュツオーラ刑事(アイス・T)、ソニー・カリシ検事補(ピーター・スカナヴィーノ)とSVUメンバーが勢揃い。みんなゴッドペアレンツ。

 

ノアとロリンズの2人の娘も揃っての幸せなファミリーの記念撮影でした。

この後に、被害者の家族が描かれる展開です。

 

継父にレイプされ、妊娠した少女エヴァンジェリン

 

 

被害者は、友達の兄を頼ってニューヨークにやって来たエヴァンジェリン

 

母はタミー。実の父はDV夫で、再婚した相手がジェームズでした。とても優しく善良で家族揃って信心深く、キリスト教原理主義と描かれていました。

 

家族を強力に支える牧師(元弁護士)と両親がNYにやって来て、エヴァンジェリンを連れ帰ろうとします。

 

エヴァンジェリンにとっては望まない妊娠ですが、オハイオ州では中絶は認められていません。

 

家族にとって、中絶は絶対に許されない殺人で、子供を授かったのは経緯はどうあれ神の思し召し相手と結婚させればいいという理論でした。

 

エヴァンジェリンは最初は加害者を明かしませんが、家庭裁判所でついに継父ジェームズだと明言します。

 

問題はとても複雑で

オハイオ出身でもNYでなら中絶が認められるかどうか(つまりエヴァンジェリン自身が決められるか)→家庭裁判所の管轄

継父の刑事責任オハイオで裁けるのか

未成年なので、中絶を認めない母とレイプした父のもとで暮らすのか

 

リビアは一貫して、少女自身に決める権利があると寄り添います。

 

家庭裁判所では、児童問題に強い弁護士トレバー・ランガン(ピーター・ハーマン)が助っ人に。

未成年のケースでは本当に頼りになります!

 

オハイオの検事がNYの刑事・検察・判事を殺人で訴える

 

さらに複雑になったのは、オハイオ州の地元の検事グラハムが、中絶=殺人の共謀罪でNYの関係者を全員訴えると乗り込んできたこと。

 

中絶は現代の虐殺であり、ヒトラーに並ぶ行いだと主張します。

 

上訴を続けますが、却下。

あまりに過激で中絶反対派すらやり過ぎだと言っていました。
でも充分注目を集め、支持者が集まる事態になります。

 

カーマイケル警視正(Demore Barnes)も受けて立つぞと発言していて、誰一人ぶれませんでしたね。

 

自殺未遂の娘に母親が寄り添う

 

幼い時から原理主義のなかで育った13歳にとって、子供を産むべきという大人たちの圧力は大変なものでした。

 

エヴァンジェリンは飛び降り自殺をはかります。

 

神の教えに従って夫の罪を許します(!)と言っていた母タミーは、そうまでして子供を殺したいのかと責めますが、エヴァンジェリンは自分自身を殺すつもりでした。

 

そこまで娘を追いつめたことにようやく気づき、母親は娘の意思を認めます。

 

ロリンズに付き添われてクリニックに来たエヴァンジェリン。ためらいながらゆっくりと歩く後ろ姿で終わりました。

 

新メンバー、キャットが捜査に参加

 

継父ジェームズを追及するシーンでは、第1話カトリアーナ“キャット”タミン巡査(Jamie Gray Hyder)が走りました。

 

正義感が強く、怖いもの知らずでガンガン攻めます!

「かっとしてしまって」「よくやった」のフィンとの会話に一瞬和みました。

 

カトリックのカリシにも議論を吹っ掛けます。
「女性の選択は男の集団や検察が決めることじゃない」カリシにとっては少女の権利を守ることが仕事ですけどね。

若く勢いのあるキャット、このままレギュラーとして頑張ってほしいです。

本格的な捜査は次回から、でしょうか。

 

~~~~~感想~~~~~

●劇中でも言及されていた「ロー対ウェード裁判」は1973年。

中絶を女性の権利として認めた最高裁判決ですが(と単純にまとめるのも躊躇しますが)、とても複雑な問題だと思います。

 

歴史的に多くの強制的な措置がとられた事実があり、同時にいまも倫理的・宗教的に反対派が多いのは事実。

 

今回取り上げられたオハイオ州以外にも、アラバマミシシッピー、ケンタッキー、アイオワノースダコタジョージアなどで中絶禁止の州法が可決されています。

 

放送は2019年で、トランプ政権と中絶反対派の台頭がさかんに報道されていた時期。

 

未成年が義父によりレイプされた結果であっても当事者に決める権利はないのか、が争点でした。

 

オハイオ側は妊娠初期を過ぎるまで時間かせぎをしている、という描写もありましたね。

 

「経緯はどうあれ子供を授かったのは奇跡」、と語る母親にオリビアは憤りを隠せませんでした。

 

ロリンズが代弁した「中絶を望んでいるわけじゃない。まだ子供のままでいたいだけ」という気持ちが本当のところだと思います。

 

どちらが正しいかでなく、選択する権利がテーマでした。

 

そして、オリビア自身がレイプされて産まれたということが背景にあります。

今回は、私の母のときは闇で手術するしかなかった、今も少女たちが危険な状況にある、と言っていました。

 

●そして、法が宗教を超えるという単純な話でもないのでしょう。

 

カーマイケル警視正助祭の資格を持っていると語られました。

 

カトリックであるカリシの母は、生まれても数日しか生きられない子供を中絶したとき、どんなに愛していたかを話して一週間泣いたと語っていましたね。

痛みしか知らないその子にとっても理不尽だ、と。

 

でもカリシは「神に背いてレイプした男を神が許すわけがない」とグラハムに伝えました。

グラハムはジェームズ訴追のためにオハイオで頑張ったと思われます。

 

警視正もカリシも確固とした信仰心を持ちながら、もう一つの信じるもののために闘ったわけです。

不完全であっても、社会を良くするために作られた法を守る、という気持ちが伝わってきました。

 

●そして、トレバーさん、お疲れさまです! 

リビア役マリスカ・ハージティのリアル旦那さん💛
何度もノア&オリビアを助けてくれました。

また登場してほしいですね。 

 

次回、キャットが走ります。

 

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