2013年の映画「About Time」をNetflixで視聴。
ラブコメかと思って気軽に観始めたら、そこで終わりません。
名手リチャード・カーティスによるハートウォーミングな名作でした!
父と息子の最後のシーンは思わず泣いてしましました。
ネタバレ感想です。
この投稿をInstagramで見る
始まりは ラブコメ×SF 設定? タイムトラベルで過去をやり直す
主人公のティムは心優しいけれどシャイで冴えない青年。
ですが、なんと一族の男子は21歳になるとタイムトラベルができるようになる・・・という特殊能力を持っていました。
ガールフレンドができないので、何度も過去に戻って理想の女性を探すことになります。
そして出会った女性と結婚し、子供が生まれ、人生は続き・・・という物語。
失敗続きだけど、愛に溢れる人ばかり! 登場人物紹介
■主人公/ティム・レイク(ドーナル・グリーソン)
この投稿をInstagramで見る
初恋のシャーロット(マーゴット・ロビー)に告白するところからやり直しますがうまく行きません。
コーンウォールの実家からロンドンに出て弁護士として働き始め、メアリーに出会います。
ドーナル・グリーソンは1983年、アイルランド生まれ。父は俳優ブレンダン・グリーソン。
「ハリー・ポッター」シリーズではロンの兄ビル役。「スターウォーズ」ハックス将軍、「レヴェナント: 蘇りし者」など。
役柄によって、別人かと思うくらい印象が変わります。注目の実力派ですね。
■ティムの父(ビル・ナイ)
大学教授をやめ悠々自適のリタイヤ生活。家族は弟=ティムの叔父デズモンド、妻(リンゼイ・ダンカン)、娘=ティムの妹キャサリン=通称キットカット。
ティムに一族の話をし、節目節目で相談にのる温かな楽しいお父さん。
ビル・ナイは1949年イングランド出身。「ラブ・アクチュアリー」以来、大好きです!
■ティムの妻/メアリー(レイチェル・マクアダムス)
この投稿をInstagramで見る
内気な出版社勤務の女性。ロンドンでティムと出会い、結婚。
前半は、ティムとメアリーのロマコメ風味。ティムは出会いやデートなど、何度も失敗してはタイムトラベルをしてやり直し、ついに家族になります。
レイチェル・マクアダムスは1978年カナダ出身。2022公開予定の「ドクターストレンジ」続編にも。
美人でキュートで表現力豊かでもう大好き!
ティム&メアリーのユーモアがあって可愛らしいカップル、最高です💖 お互いを思いやってどんな時も一緒に解決していきます。
■家族、友人も個性的でいい人ばかり
この投稿をInstagramで見る
やなヤツ、一人も出てきません。
↑右端はマーガレット王女ことジョアンナ(ヴァネッサ・カービー)。メアリーの友人で美人で積極的、楽しい役どころです。
ティムの向かって左隣は妹キットカット(リディア・ウィルソン)。明るく天然でマイペース。お酒やボーイフレンド絡みで問題も起こすけど、純真な家族思いの女性です。
さらに、ロンドンでティムに部屋を貸す父親の友人・偏屈な劇作家ハリー(トム・ホランダー)。ティムはタイムトラベルでハリーの成功も手助けします。
そしてティムの友達、ローリー、ジェイなどもいい味出してます。
■脚本・監督リチャード・カーティス
さすがのストーリーテリングでした! わたくし監督には詳しくないのですが、この方はまとめてみました。
1956年ニュージーランド生まれ。11歳から英国在住。オックスフォード大学時代に出会ったローワン・アトキンソンといっしょにドラマ・映画の製作、脚本執筆などを始める。
舞台やTVドラマ、後に映画製作も。主な作品は
「Mr.ビーン」シリーズ、「フォー・ウェディング」「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズ、「戦火の馬」「ドクター・フー」「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」などの脚本(一部製作も)。ロアルド・ダールの「Esio Trot」もTV映画化していて、見てみたいです(ダスティン・ホフマン、ジュディ・デンチ出演)。
監督・脚本は「ラブ・アクチュアリー」「パイレーツ・ロック」、この作品など。
コメディ、ヒューマンドラマの名手です。ひねりが効いてて、温かくて、笑って幸せになれます。
今回はさらにグッとくる結末でした。リチャード・カーティス、この作品で監督業は引退すると話しているそうです。
~~~~~感想~~~~~
タイムトラベルのルールはただ一つ。父と息子に関係します
前半のコメディも楽しいのですが、人生が動き始める後半はとても味わい深いです。
過去をやり直せたら、という思いを通して毎日の素晴らしさを描いた作品でした。
大雨のウエディングパーティ(楽しそう!)、子供が生まれるドタバタや妹を事故から救うシーンなど、いろんなエピソードが続きます。
この投稿をInstagramで見る
ところが。
ある時、タイムトラベルから戻ると、自分の子供が違う子になっていてビックリ。
この作品のタイムトラベルは、クローゼットの中など暗い所でこぶしを握って集中するだけ、というもの。
バタフライ効果もパラレルワールドも出てきませんで、ただ一つのルールは、子供が生まれる前に遡ってはいけない、ということ。
タイミングによりどの精子が受精するかはデリケートなので、ほんの少しの影響で大きく変わってしまうから。だそうです。
突っ込む必要はありませんが、子供(つまり家族)が関係するとなると何となく納得できる説得力でした。
この投稿をInstagramで見る
コーンウォールでの家族そろっての幸せなお茶の時間。子供たちなど、ちょっとずつ家族が増えていきます。
この投稿をInstagramで見る
父と息子はよく卓球を楽しんでました♪ 何度も繰り返されます。
ビル・ナイがいかにも人生を謳歌してるお父さんで素敵なんです。
が、ある日、父がガンで余命数週間ということが分かります。
ちょうどティムとメアリーは3人目の子供を作ろうとしていたとき。
つまり、子供が生まれると、もう父と一緒の時間には戻れません。
メアリーの気持ちを尊重し、子供を作ることにした2人。
実は父は、何度も過去に戻って家族との幸せな時間を楽しんでいました。
いよいよ子供が生まれる直前、父に話して、最後にもう一度だけ一緒に過去に戻ります。
この投稿をInstagramで見る
ティムの少年時代でした!
子供が生まれる前だけど、誰にも会わないならいいだろう、と。
2人で海に行くんです。ここまでのお話の運びが巧みで、もう、一瞬で目頭が熱くなるというか鼻の奥が痛くなってたまりません。
顔が映るのはほんの一瞬で、ほとんど後ろ姿だったと思います。
何を話しているかも聞こえません。
父と息子だけの秘密を絆にたとえたお話でした。
(少年役は、リチャード・カーティスの息子さんだそうです)
演技も演出も湿っぽくないんです。かといって突き放しているわけではなく、とても自然でほろ苦く温か。
とっても素敵な作品でした。
この投稿をInstagramで見る
お父さんは、幸せになれる方法を語っていました。
それは、いつも通りの毎日を送ること。過去に戻って二度目もほとんど同じように毎日を送ること。
最後はティムの独白です。
“僕はもう過去には戻っていない。
毎日を生きている。まるでその日をやり直しているかのように。
とんでもなくありふれた人生の今日が最後の日だと思って”
“人は誰もが時間を旅している。人生という旅を”
年をとっても時々見直したくなる映画だと思います。
この投稿をInstagramで見る