hulu配信中、ロシア国営テレビの大河ドラマ「エカテリーナ」ネタバレ感想です。
シーズン1のキャスト詳細はこちら。シーズン2の序盤、第1~4話のキャスト紹介はこちら、第5~8話の感想はこちら。
全12話、いよいよフィナーレです。(シーズン3は日本では未配信)
この投稿をInstagramで見る
シーズン1で即位まで、シーズン2では1768年を中心に「エカテリーナ大帝」としての歩みを取り上げたこのドラマ。
迫力のマレーナ・アレクサンドロワ、適役だったと思います。
パーフェクトに詳しい日本版wikiによると、シーズン2からはロシア文化省が全面的に支援したそうで、エカテリーナ宮殿や多くの歴史的建造物で撮影。フリードリヒ大王のサンスーシ宮殿(ドイツ)も本物だったようです。
シーズン通しての大きなテーマはオスマン帝国との戦争です。
同時にポチョムキンとの恋愛、終戦後は、息子パーヴェルの結婚が中心となりました。
まず、テーマごとに簡単あらすじ紹介です。
- オスマン帝国との戦争を通して、国内の力関係も変化
- 宮殿を去るグリゴリー・オルロフ
- 後半の大きなテーマは皇太子の結婚
- グリゴリー・ポチョムキンと公私ともにパートナーに
- “祈り”を通してフィナーレへ
- ~~~~~まとめ感想~~~~~
オスマン帝国との戦争を通して、国内の力関係も変化
大使がとらわれたままの1768年。「度重なる警告に耳を貸さなかった」として開戦にいたります。→あくまでロシアの見解です。
このとき「エカテリーナ大帝」という新たな名前で宣戦布告をしました。ピョートル大帝の唯一の継承者、という意味のようです。
背景としては、
●クリミア半島、黒海北岸がメイン。→海軍の準備が最大の課題。
●スウェーデンへの対抗意識から、デンマークが北海の艦隊通過に協力。
●反乱軍鎮圧に協力するとして、誰もがほしがるポーランドに進軍。
●プロイセンのフリードリヒ大王↓は様子見。ロシアとトルコ、両方に弱ってほしい。そしてやっぱり、ワルシャワを狙っている。
軍の動きは、
●エカテリーナは、軍艦に詳しいとして海軍司令官をグリゴリーから弟のアレクセイ・オルロフに変更→兄弟で不信感が生まれる。
●グリゴリー・オルロフは銃士軍(陸軍らしい)の司令官に。実力不足でスヴォーロフ准将が活躍。
体調不良のグリゴリー・オルロフ。もともと政治家としては思慮が浅いと描かれていました。
元は英雄でしたが、軍人としても求心力は弱まるばかりです。
ポチョムキンに恋したエカテリーナからは、はっきりと、もう個人的には会わないと言われてしまいます。
ロシア軍は大変苦しく、準備不足や技量不足で船が沈没したり破損したり。
エーゲ海に遠征しますがトルコ側の兵力は2倍。ですが、奇襲攻撃によりチェスマの海戦で世界一といわれたトルコ海軍を破ります。
スルタンは天然痘で死去し、勝利しました。
↓このとき、海軍で活躍したアンドレイ(右)と陸軍のピョートル(左)のラズモフスキー兄弟が凱旋。
記念式典では親友の皇太子パーヴェルと再会できました。
戦争の悲惨さを体験した2人は「戦闘を美化するのは、未経験者と自分を正当化して罪悪感から逃れたい者だけ」と語っていました。
宮殿を去るグリゴリー・オルロフ
チェスマの海戦の後はロシア軍が優勢。スヴォーロフ将軍やポチョムキンが活躍していました。
そして、1773年、グリゴリー・オルロフはついに宮殿を去ることになります。
表彰され、宮殿を与えられて、つまり体のいい退職金ですね。
政治的な地位は低下しても何とかエカテリーナの心をつなぎとめようと努力しましたが、もうすっかり気持ちは離れてしまいました。
なお、腹黒いパーニン伯爵(右)は、ポチョムキンとエカテリーナの手紙を手に入れ、オルロフ兄弟を懐柔。ですが、もともとロマノフ家を守るためにグリゴリー・オルロフを排除したかったので、エカテリーナが最も信頼するベツコイ公爵(左)同様、ほっとしていました。
グリゴリー・オルロフ、その後は正気を失い悲しいことになったと描かれました。
1776年、12歳のいとこを「陛下」と呼び愛人にしたといい、会ってもエカテリーナが分からないほどになっていました。
後半の大きなテーマは皇太子の結婚
ソフィアと別れさせられたパーヴェルは、怒りと失意の日々でした。
グリゴリー・オルロフとの子アレクセイはイングランドに留学させられます。健気に別れの挨拶をする兄弟のシーン。
僭称者があちこちに出現し、国内が不穏な状況だったことから、民衆の不満をおさえるために、パーヴェルの父ピョートル3世の式典が予定されました。それが中止になったときには、エカテリーナには心がないと怒りのあまり銃を向けたことも。
エカテリーナは花嫁選びを急ぎます。
決まったのは、ダルムシュタット方伯の娘ヴィルヘルミナ、ロシア名ナタリア。
意志が強く、社交的、好奇心旺盛で「私の若い頃に似ている」と選んだものの、自信過剰なとんでもない “情熱家” でした・・・。
緑のドレスがヴィルヘルミナです。
花嫁候補の三姉妹を船で迎えに来たのはアンドレイ・ラズモフスキーでしたが、船上で早速誘惑。ロシア到着後も関係を続けます。
処女の検査で落とされるかと思っていたのに、「私も同じ屈辱を受けた」とエカテリーナが検査を中止させたため、結婚。
そしてアンドレイも困ったやつです。ナタリアは怒ると殴る蹴るの暴力沙汰も起こし、秘密警察長官シェシコフスキーが調査。
ナタリアがアンドレイのほかに8人と関係をもっていること、クーデターを画策していることまで判明します。
即位したばかりの仏ルイ16世にも連絡していました。外国勢力と組んでエカテリーナを追い落とそうという計画で、加担していたアンドレイは逮捕。
しかし「私は未来のロシア皇帝を産むのよ」とナタリアはしぶとい!
エカテリーナの前でも足を投げ出してベッドの上で食事をする態度でしたが、出産中に亡くなります。
次の候補は、フリードリヒ大王が推薦したゾフィー・ドロテア。
裕福ではないけれど、賢く快活。エカテリーナと同じ城で生まれたことから気に入られます。
普段はマリア、悪い事態ならマリーと呼んでと話していました。才気煥発で、パーヴェルとも愛し合うようになります。
最初の息子(後のアレクサンドル1世?)をエカテリーナに取り上げられたことから、修道院へ逃亡。
聖職者に説得されたエカテリーナは、自分もエリザヴェータに子供を奪われたことを思い出し、返します。
パーヴェルとマリアは一家でヨーロッパへの旅に。
グリゴリー・ポチョムキンと公私ともにパートナーに
第9話冒頭、グリゴリー&アレクセイのオルロフ兄弟に暴行され、左目を失ったグリゴリー・ポチョムキン。
ベツコイ公爵の助けで遠くの戦場に赴任しました。
戦争のさなかもエカテリーナとの文通は欠かしません。
再会したときエカテリーナは、愛し合える夫がいたら浮気はしなかった、関係はなかった、情熱を抑えられなかったけど、あなたに夢中になってオルロフへの愛は冷めたと語ってました。
そして司祭の教えに従い痛悔をし、極秘結婚。
ポチョムキンは、ベツコイ公爵とともに都市計画を進めるなど政策面でも支えます。
“祈り”を通してフィナーレへ
結婚が許されたのは痛悔の後。(痛悔とは懺悔のようなものでしょうか。宗教に詳しくないのでそのまま書きます。)
「自分が背負う重荷を知りなさい」という言葉に従って、これまでを振り返るエカテリーナでした。
無実の者を投獄したことを悔いて、これまでも登場していたホルモゴルイのイヴァン6世の家族のもとへ行きます。
父アントン・ウルリヒは亡くなっていましたが、子供たちを40年ぶりに解放しデンマークへ送り届けました。
祈りの前に3日間囚人と同じ生活をするというものでした。
最後のシーンは1782年。
ポチョムキンやパーヴェル、マリア、閣僚たちといっしょに、念願のピョートル大帝の像が完成、お披露目する式典でした。
↓この像ですね。
~~~~~まとめ感想~~~~~
●迫力のエカテリーナ大帝、マリーナ・アレクサンドロワ、はまり役でした!
低音で太いロシア語ならではのセリフと目力にくぎ付けで、楽しめました。
皇帝らしい皇帝役だったと思います。品格と迫力と美しさの3拍子必要ですからね。
そうでもない女王役や王女役だとヴィジュアルだけで見る気になれませんけど、納得の存在感でした。
●歴史モノとはいえ、キャラクターやエピソードはフィクションも多いのでしょうね。
特に後半、グリゴリー・オルロフの病気とナタリアの狼藉はステレオタイプだったし。
ナタリアは小物すぎてエカテリーナの相手にはなりませんでしたけど、ルイ16世のことを「バカな若者ね。フランスを破滅させるわ」は、そういう年代かと思い出させてくれました。
その他にも、年代が前後していたり。史実と異なることは多いのでしょうが、皇帝としての切迫感のようなものと当時の豪華さは充分楽しめました!
●戦争パートでは、南下政策とか、不凍港を求めての進出とか、懐かしの世界史の授業がよみがえりますね。
具体的には忘れていますが、クリミア半島やギリシャ、ポーランドなどがからまって混乱したことだけは覚えています・・・。
●シーズン1との違いはスケールの大きさです。
実際の宮殿での撮影が許可されたうえに、きっと予算も何倍にもなったはず。
戦闘シーン、迫力あったんです! 海も陸も凝ってました。
シーズン1は最後、軍事クーデターなのに軍隊は映らず少人数で寂しかったのは確か。人気が出てよかったです。衣裳や建築物などさらに豪華になり、目の保養でした。
●最終的には、啓蒙君主として近代化を進めた功績が語られました。
34年間のエカテリーナ2世の治世で人口は2倍になったそうです。
また、多くの病院、避難所、孤児院を開設。ロシア・アカデミーや女学院を作ったこと、辞典の出版、芸術・科学を支援したこと、144の都市が作られたことがナレーションで説明されました。
ラズモフスキー伯爵に大学や多くの学校を作るよう指示していましたね。
強引に進めないと動かないことは多いですから、類まれな判断力の持ち主だったのでしょう。
恋愛体質で公私混同も多いけど、当時は当たり前だったはず。啓蒙君主とはいえ人間ですから矛盾はたくさんありました。
グリゴリー・オルロフ×12歳の少女について「性的暴行はありません」という報告に「男が判断することじゃない」と即答する一方で、ソフィアの妊娠への対応は非道でした。
子供達との関係もやりきれないものがありましたが、善人に描かない作り方は納得です。
●最後に、いちばんハッピーなエピソードを。
ラズモフスキー兄弟のピョートル、以前から好きだったソフィアにプロポーズ!
いっしょに子供を育てるそうです♪ シーズン3も気長に待ちましょう。