カノンの海外ドラマ漂流記

気ままな海外ドラマ中心のブログです。ネタバレ記事中心です。

ドラマ「LAW & ORDER: SVU 性犯罪特捜班」シーズン21 Ep6 感想 ~ どこでも起こり得る理不尽。冤罪を晴らすことができるのか

FOX放送中のシーズン21第6話「16年前の真実(Murdered at a Bad Address)」ネタバレ感想です。 

 

やり切れない事件でした。すっきりしない解決法ではあるものの、これ、刑事事件に限らずどこでも起こり得ます・・・よね・・・。その現実がつらいです。

 

ゲストはウェントワース・ミラーでした。

f:id:kanon221:20210130141015j:plain

前にも観たなと調べたら、シーズン11(2009)第1話でした。もちろん別の役で、「プリズン・ブレイク」シーズン4が終わったあたりです。本国でシーズン22にも登場。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

発端は、貧しい公営団地で14歳の少女がレイプされた事件

 

ある夜、賢く家族思いで行動的な少女ルーペが自宅がある団地の階段で襲われます。

後ろからコードで首を絞めレイプするという卑劣な手口でした。

犯人の顔は見ていませんが、ルーペの音楽プレーヤーのヘッドフォンにDNAが残っていました

 

ほかにルーペが覚えていたのは、鉛筆けずりのような木の匂い、白人かヒスパニック系、大柄、手が固い、家族のことを知っていること。

さらに、16年前の事件で残されたDNAと一致していました。

 

16年前のレイプ殺人事件で無実のカルロス・トーレスが服役中

 

16年前の事件とは、ファー・ロッカウェイのやはり貧しい世帯が住む公営団地で母と娘が殺されたもの。

娘はレイプされており、その最中に帰宅した母もろとも殺されたと思われます。

 

自供→逮捕されたのはこの家の息子、15歳のリカルドと18歳のカルロスでした。

 

しかしDNAが一致しないため、フィン(アイス・T)と検事補のカリシ(ピーター・スカナヴィーノ)が刑務所のカルロスに3人目の犯人を尋ねます。 

カルロスは自白は強要された刑事と検事に自白しないと死刑だと言われた、事件の夜は外出していたがどこにいたかは言えないと話します。

 

先に自供したリカルドは最近出所。間違いだったという長文の手紙を残していました。

 

カリシとロリンズ(ケリ・ギディッシュ)は当時のモンテ刑事に会いに行きます。

いかにも思い込みの激しい荒っぽい刑事でしたが、故意に捏造したとは思えず、当時、同じようなレイプ事件が頻発していたと分かります。

そのために功を焦って自白に追い込んだもよう。

 

真犯人を見つけたが、手続きの壁は認知症の地区検

 

ルーペの証言に合いそうなのは、団地のメンテナンスなどを行う管理業者

まず、16年前の団地でも管理担当だった容疑者を洗い、DNAを調べます。

一致したのはフィン達が調べたティム・スタントン

ルーペの家の浴室を修理し、カルロスの家の食器棚を修理したときに妹と知り合ったらしい。

 

16年前の事件でも被害者の爪に血液と皮膚が残っていましたが、自供→裁判後の処理だったので審理されなかったようです。

しかも、一度有罪判決を受けた服役中の“犯人”がいると新たに逮捕は難しい。

再審が必要となります。

 

さらに別の事件でもDNAが一致し、スタントンは計6件のレイプとファー・ロッカウェイのレイプ殺人事件の犯人とわかりました。

被害者は12歳、13歳など少女ばかりでした。

 

カリシは、クイーンズの地区検事キーンにカルロス有罪判決の無効を訴えに行きます。

16年前の事件の担当で、この事件を早期解決した手柄で地区検事に出世した人物。

 

ですが、認知症で理解力はなく、多くの書類が山積みにされていただけ。

 

キーン検事の下で検事補をつとめているのがカリシのロースクール時代の同級生、Isaiah Holmes(ウェントワース・ミラーでした。

 

ロースクール時代、「有罪100人の放免は1人の冤罪よりマシ」と推定無罪について熱く語ったホームズの信念を信頼するカリシは協力を求めます。

 

カルロスとリカルド兄弟

 

ロリンズとやはり公営団地育ちのキャット(ジェイミー・グレイ・ハイダーは先に出所した弟のリカルドを探します。

 

世話役の女性ママ・ベイカーによると出所したときすでに末期のエイズで、先週亡くなったとのこと。

兄弟が遊んでいた海に遺灰をまく約束をしたと言います。

決して暴力をふるわない繊細な少年だったようでした。

 

カルロスは何かを隠しているようす。

強硬に反論するスタントンの尋問で、「ゲイのくせに刑務所でよく生き延びてるな」という弁護士の言葉でカリシが気づきます。

 

母と妹が殺された夜、カルロスはリカルドとともにプロムビーチに行っていたのでした。

男性同士の出会いの場として有名らしいです。おそらくベイカーが語っていた海にもつながるのでしょう。

 

刑務所でゲイと分かれば生きていけないと苦しむカルロス。

時代は変わった、多くが公表しているとカリシは説得しますが、カルロスは刑務所では通用しないと拒みます。

 

カルロスは、証言はできないが母と妹の墓を探してほしいと頼んで面会を終えました。

 

有罪を覆したのはホームズの秘策でした

 

真犯人が分かっているのにカルロスは証言できません。

ルーペは妹のためにと健気に証言するつもりでした。

 

カリシは再度ホームズに協力を求めます。

レイプを恐れてアリバイを明かせないんだ、と言うカリシに、それを話したのは僕がゲイだから? とあっさり受け流すホームズ。

 

カリシもそのまま話を続け、無実の男を自由にしたい、その疲れ切った顔の下に正義感はあるだろう、と。
確かにあの検事の下では苦労ばかりのはず。

 

ひと晩考えたホームズには計画がありまして。

 

自分をロースクールの教授だと思い込んでいるキーン検事に、有罪判決を無効にする書類を「ロースクールの推薦状」と偽ってサインをもらったのでした!

 

法廷では、カルロスの弁護士同様、誤審を認め、真犯人が発覚したとして判決の無効を求めたホームズ。

判事は即座に不当な勾留を謝罪し、カルロスは自由になりました。

 

鎖を外されても同じような歩き方しかできないカルロスをフィンとカリシが見守ります。

その後、カルロスの母、妹の墓に連れて行きました。

無実の兄弟のため、クラウドファンディングで資金を集めてカリシ達が作ったようでした。

 

スタントンは殺人を認めます。他のレイプは自供しませんでしたが、母親が心配したルーペの証言はなくなり、長く刑に服すことになりました。

 

リビアは弟サイモンと再会。悲しい結末に

 

サイドストーリーとして、オリビアとサイモンの再会がありました。

離婚したらしく、もう5年間くすりを断って真面目に働いているといいます。

 

しかしサイモンはノアと3人でのランチをすっぽかします。

怒りのあまり、もう二度と電話しないでとサイモンの留守番電話に残したオリビア

 

ですが、サイモンは亡くなっていたとわかります。

長い間くすりは断っていたものの、ほんの少量試したヘロインが粗悪だったためだろうと説明してくれたのは、ワーナー先生(タマラ・タニー)でした。 

 

サイモンが最後に聞いたのがあの留守番電話だったら、と後悔するオリビアをワーナー、ロリンズとも気遣ってくれました。 

 

~~~~~感想~~~~~

 

権力者が判断力を失っていたら?

 

認知症でなくても、刑事事件でなくても起こり得る話です。それが誰かの人生を何十年も狂わせるとしたら・・・。

 

そんな社会の理不尽を考え始めると苦しくなる昨今、リーダーシップの不在は社会全体の損失というか脅威です・・・。

 

しかし検察事務所全体で隠ぺいというのは恐ろしいですね。ただでさえ複雑な手続きがほとんど止まってしまうわけですから。

検察でなくとも、(お役所か企業か)何か似た事件があったのかもしれません。

 

でもそれを逆手にとっての解決法は、もやっとしますけど。皮肉でした。(納得はできませんがドラマなので。)

 

●ところで、リカルドの手紙はなかなかきれいな丁寧な字で書かれていたし、カルロスは母と妹の魂がさまよっている、と詩的に語っていました。

 

普通の優しい少年達だったようで、きちんと教育を受けていたらと思わせます。

 

●ホームズ検事補、あっさりカミングアウトしていて、その後もするすると特別視することなくドラマは続きました。自然なことですから。

 

ウェントワース・ミラーがストレートの役はやらないと発言したのはこの翌年で、シーズン22ではLGBTQ+に関連する事件みたいです。

 

判断能力のない権力者を描くとともに、推定無罪の原則「百人の罪人を放免するとも、一人の無辜の民を刑するなかれ」がテーマの一つでしょうか。

16年前の検事の判断、現在の検察側の信念が問われたからこそ、のホームズのスタンドプレイということかな。

 

そして現実では、手続きは煩雑でハードルはたくさんある、ということでしょう。

 

●今回は全体を指揮していたオリビア

ルーペの事件の直後、夜勤をしていた母親は、一緒にいられなかった自分を責めますが、オリビアが言うんです。

 

家族のために働いている。あなたのせいじゃない

この一言がどれだけ助けになるか。短くても必ず登場するメッセージですね。

 

●そしてサイモン。

シーズン8、13以来だったのですね。無言で後悔を表現するオリビアにうなりました。

 

●ワーナーは嬉しかった! オリビアの苦しみを受け止める検視官はこの人でないと。

初登場はシーズン2。17までコンスタントに登場し、シーズン19以来久しぶりです。

 

●最後に、最近の話題というと、このお方!

「LAW & ORDER」の新たなスピンオフ「LAW & ORDER: ORGANIZED CRIME」に出演と報道されて話題になってます!

 

個人的な大きな悲しみを抱えつつ(何だろう?)エリオット・ステイブラー(クリストファー・メローニがNYPDに復帰、組織犯罪を捜査するらしい。

ディラン・マクダーモットの役は発表されていませんが、LAW & ORDER ですからね、検察かな?

 

コロナの影響で製作が遅れていたらしいです。シーズン22にステイブラーが再登場するのはこの新シリーズとも関係するかもしれません。

 

今年2021年後半に公開予定と報道されました。

 

 

f:id:kanon221:20201218232024j:plain